9月号タ~ワ行の方の作品です。
ア~サ行は「海紅俳句1」にあります。
牛 久 高橋 毅
梅雨明けだ青い空にすじ雲さあスケッチ
外出控える天気予報のお姉さん恫喝まがい
カサブランカがテッペンまで咲き梅雨が明けた
永田町口と肚とは大違い右往左往日本
議尽くさず強行採決も民主主義蒸し暑い
茹でガエルを実験中COPなどやっても年々暑さ増す
キョン激増中と生の多様性と はて?
東 京 中塚 唯人
塀の上でダレてる猫よ暑いのは君だけでない
暑さに向かう覚悟はあるか曲がった胡瓜よ
がさごそ灯りつけたらカブトムシ君のお食事中
猫電車もお待ちかね孫が二人で帰ってくる
孫とカブトムシと夏休みいちにち
夜の闇サルスベリ大きく揺れ魑魅魍魎
今宵の半月さん横顔やけに色っぽくて
浜 松 中村 加代
青田続く残したい景色を歩く
ひと雨ごとに草も伸びて溜息も
土曜の夜は遠花火夏のはじまり
梅雨明け間近か日除けの簾出番です
猛暑続く列島燃えるるがごとく
浜 松 中村美代子
ギックリ腰五センチ先が届かない
力を抜いて動こうヨガの秘訣
迷っている流行りの服透け感あり
バトントワリング特訓の孫動画届く
闘わないで受け入れる手だて
倉 敷 原 鈴子
枇杷の葉裏のここち良さ知るか蝶の羽
行列のうしろ吹く風わかいカップル
朝から笑うしかないこの暑さ
引っこ抜かれるねこじゃらしも全力
オクラの花知らない子黄色のおどろき
人のうわさなんとなく流れて淀む
トウモロコシ食べ尽くされた畑の一夜
西 宮 松田 寛生
夏休み遺影の目のぎょろりぎょろりと
ワレワレハウチュウジンダ扇風機
扇風機ひとり分の風をひとり占め
ずぶ濡れている猫になりたい通勤路
白きヨットとなり沖に出よ
滴る山よ朱の鳥居
水固まり胡瓜となる
福 山 無 一
暑すぎて都市
人の気も知らずに蝉時雨
浮かんだ句も蒸発する暑さだ
背中にポトリとエアコンのよだれ
危うく尻の下に尺取虫
怒鳴りたくなる病気の話
飲ませる垢の無く爪
横須賀 森 直哉
風を預けて夏は去る
底抜けたバケツ水注ぐ男あり
夜に咲く花は香りのみ姿無く
岐 阜 森 命
鷺が蛙を食いすぎる静かな雨夜
炎天ときどき梅雨俺と西瓜が仲良しで
顔を見て自動で変わる田舎なまり
未知の梅雨空とうとう黙ってしまった雨蛙
雨の霧ヶ峰オーナーのマジックで更ける山荘
長年のつきあい霧晴らし迎えてくれた日光キスゲ
老婆は強い酷暑に高らか笑い声
東 京 吉川 通子
ニキビができた少年夏休み始まる
百日紅咲きだし梅雨を押し出す
環七の騒音に揺れアガパンサス白い花
直径二センチにして青い蜜柑いちにん前
雨に打たれ色を失くしたブラックベリー
山芋蔓伸ばし垣根を占領白いつぶつぶの雄花
少女飛び立つ梅雨明けた空
10月号作品
牛 久 高橋 毅
東 京 中塚 唯人
浜 松 中村 加代
浜 松 中村 美代子
倉 敷 原 鈴子
防 府 無 一
横須賀 森 直弥
岐 阜 森 命
11月号作品
牛 久 高橋 毅
東 京 中塚 唯人
浜 松 中村 加代
浜 松 中村美代子
倉 敷 原 鈴子
西 宮 松田 寛生
福 山 無 一
岐 阜 森 命
東 京 吉川 通子