海紅文庫

現在、一碧楼句集「冬海」中塚檀句集「黄土高原」をPDF化しました。これに「一碧楼物語」があります。 今後も単価はなるべく抑えて、誰でも自由律文献が、スマホやタブレットそしてパソコンで、どこでも手軽に読めるようにしたいと思っています。下記三冊「お問い合わせ」から申し込みいただけます。現在これら句集等は電子書籍化しております。現在は「碧梧桐句集」が刊行されましたが(「お知らせ」欄参照)次なる電子書籍化推進中です。

1.中塚一碧楼物語・前巻-中塚唯人著  (2.000円)
「これを読めば自由律俳句の全てが分かる「自由律俳句」の入門書です。」
この本は学術書でも研究書でもありません。誰にでも読んで頂けるよう書きました。
  
一碧楼の俳句との出会いから、兵庫県城崎に於いて憧れの河東碧梧桐との邂逅。碧梧桐の天才中塚一碧楼の発見、そこから始まる本格的な俳句へ新たなる旅立ち。そして碧梧桐の強烈な選句と添削への反発からの離反。選者制を強烈に批判し、個性を尊重する自選を主張した「自選俳句」の刊行。続いて「季語」や「17字定型」を無視し、外国語や句読点・括弧・ルビ・感嘆符までも使用し、口語表現も登場する「試作」の発刊。それらの結論として思うがままに自由に書くという、自由律宣言を標榜する「第一作」へと続きます。
この時代に自由律俳句がどうしても生まれなければ行かなかった必然性、いや何故自由律でなけれればいけなかったのかがよくわかります。

そして大正4年碧梧桐との和解により「海紅」を創刊するまでの道のりを描きます。 「自由律が俳句」なぜ生まれ出なければならなかったか、そして「自由律俳句」とはなにかを小難しい理論ではなく、誰にでも解るように一碧楼の俳句人生を追いながら読み解いていきます。 海紅発刊から昭和20年没までの後巻は現在「海紅誌」に連載中です。

2.「冬海・一碧楼全句集」 (1.000円)  
「海紅」とはのコーナーでご紹介している一碧楼全句集です。初期の新傾向俳句から絶句まで網羅しています。一碧楼俳句を読むならこの一冊です。自由律句とはなんなのか、一碧楼の中でどう変遷していったか、この句集を読めばすべてが解ります。
 まず現在も未来も市販はされません。

3.二代目社主中塚檀句集「黄土高原」 (1.000円) 
一碧楼俳句を更に推し進め現代を詠んだ句集です。自由律俳句を目指すならば是非とも手元に置いておきたい一冊です。一碧楼以降の海紅で、変遷する昭和の時代の海紅俳句がどう変わっていったかがよく解ります。一碧楼は俳句をさらに進化させたといっても過言ではないと思います。

                       中塚檀句集『黄土高原』拝詠                   日野 百草
黄土高原  妻の句を詠むことは難しい。
 普通は恥ずかしいですし、世間的に言ったら笑われる類です。
 しかし放哉や夢道には妻を詠んだよい句があります。私も目指している句題のひとつです。そして私は『黄土高原』に出会い、放哉や夢道に並ぶ素晴らしい妻の句を詠む俳人に出会いました。
 それが海紅前社主、中塚檀です。(以下、海紅の一員として敬称は略させて頂きます)
 もっと早くに詠めていたらという思いと同時に、今でよかった、とも思います。

 檀句はうっかりすると私の句作に悪く影響してしまうほどの切れ味です。とくに昭和末期から平成にかけての切れ味は素晴らしく、
 
   木瓜かすかに芽吹き妻に云う言葉を探す 
   あきかぜ妻の自転車ねじれて置かれ

 

 これは自由律のみならず、詩的にも非常に優れている句だと私は思います。
 また私は常日頃、妻以上に犬というのは愛おしい方向で詠むのが難しいと思い悩むことがあったのですが、これも檀句においては、
 
   死期を知る犬のひとみ春一番が吹く 
   犬の屍白い布から顔が見えもうはざくら
 
  正直、悔しいほどです。私も昨年、愛犬を亡くしたのですが、
 犬の死という事態を、愛おしさを素直に表現する方向で読めないのです。
 ただ陳腐になるか、「私ごと」に体よくごまかして詠む方向でしか浮かばない。
 ですから人様に表出しする句としてはひとつも詠んでいなかったのですが、中塚檀は詠めている。
 
  また詠めぬものといえばサラリーマン生活もそうです。これまたどこか陳腐になるか、有り体な川柳もどきになるか、
 ステレオタイプな悲哀になる。難しい。しかし、
 
   青葉には遠い机だから女子行員の小さい欠伸
 
 素晴らしい。今だからこそ素晴らしい。あの高度成長期から安定期に入った、日本のどこかのどかな労働風景が微笑ましく伺えます。
 ある意味、これも労働句と言えましょう。イカリ肩でない、優しい労働句です。
 そして今だからこそ、というのは、現代に残ったということです。
 現代人の私の琴線に触れた、残った。
 
   中塚檀は今後、いや現代だからこそ再評価されるべき俳人だと思います。
   檀句は平易で、それでいてキレがあり、現代人に、高度成長期を経験した人々に訴えかける、優しき良句ばかりだと思います。
 『黄土高原』にはそのすべてが詰まっていました。
 ご縁をありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

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