各地俳況2

【海紅スカイプ句会レポート】     中塚唯人
 本日のスカイプ句会は耕司氏と吉明氏は体調不良のため、空心菜
さんも都合により欠席で、広太、直弥、すすむ、崇譜、聡、ゆきこ、
唯人の東京鷹番組の七人と新潟見附の紺良造さんとをスカイプを繋
いでの句会となりました。
 回線の不都合で四時半開始の予定が三十分ぐらいずれ込み、時間
が押してきた都合で参座者のみの披講で句会は開始されました。
一人二句提出ですが一句ずつ取り上げました。

 トップバッターは私の句です。
  桜より早くカズの二・二六満開だ      唯 人
 この句の賛成者は一名で、広太君はサッカーのキング・カズのフ
アンだそうです。その通り、二・二六といえば我々の年代では雪の
日のあの二・二六事件を想起します。しかし今年のその日はカズ(三
浦知良選手)の記念すべき五十回目のバースデイで、Jリーグの開
幕日でした。しかもサッカー選手の寿命からいってもこの年で第一
線で活躍する姿は世界でもお目にかかれないのです。当然、テレビ
は二・二六事件はすっかり忘れてこのニュースで持ちきりです。確
かに、時事的で来年には忘れ去られるかも知れません。しかし私に
は衝撃的です。これを句にしなければと作った一句です。

  天ざるCONVERSE草野球My春       広 太

 この句は難解です。しかし四名の賛成者がいました。この句は春
を象徴する作者のマイブームな事柄が並んでいるそうです。ちなみ
に天ざるの具はアシタバの天ぷらだそうです。これは床の間の軸に
したり短冊には不向きかも知れません。しかしもうそんな俳句の範
疇から若者は飛び出しているのです。
これは俳句ではないと異を唱える方も居られるでしょう。それな
らば自信を持ってこの句に対抗できるような句を提示すべきと思い
ます。その切磋琢磨が海紅自由律と思います。

  貝殻落としたあなたの骨です         直 弥
 この句を読んだときに先ずどきっとしました。貝殻から骨への発
想、これは衝撃的です。驚きこそ俳句の発想の原点です。ただしそ
れに拘ると頭で作った句になり作者も読者も混乱します。
 作者の思いと読者の思いが完全には重ならない句、それも面白い
かも知れません。

  歌舞伎町ソーダ割り荻窪をお湯割り      すすむ
 この句は「を」が難しくしました。素直に読めば歌舞伎町=ソー
ダ割り、荻窪(作者の暮らす街)=お湯割り、つまりはその街をお
酒とイメージ的に掛け合わせているような。そうすると駒沢は等と
いうようなですね。実際は作者がハシゴをしたときのようです。
そして問題は「を」ですが、地元ですから「を」取り並列するよ
りも入れることにより、荻窪の街を酒に見立てお湯で割ってしまっ
たそうです。そこまで読める人がいるかは難しいところですが、言
われれば納得します。
 既成概念つまりは常識の発想を打ち破る句が生まれること、これ
からは否定するのではなく読む側にも慣れと充分な備えが必要とな
ります。
 ここで良造さんから貴重な意見が出ました「ソーダ割り」と「お
湯割り」、この字数を合わせてはどうかという指摘です。例えば「カ
チ割り」と字数を四・四にすると言うことです。確かに事実からあ
るいはイメージからいって、難しい問題はありますが充分に一考す
る価値はあると思います。

  葱買ってかえろう急行だけとまる駅      崇 譜
 彼女の住む学芸大駅は特急が止まりません。それを「急行だけ」
と言ったのでしょう。なんとなく帰りが遅くなり鍋の材料の葱を買
っていそいそ帰路に向かう姿が見え、寂しさよりも暖かさが感じら
れます。
 その昔に高浜虚子が「ホトトギス」を売らんがために俳句の大衆
化を考え、女性の台所俳句というのを募集し、画期的に売り上げを
伸ばしました。大衆化というのは文学的見地から言えば相反するも
かもしれませんが、海紅にも身辺俳句に優れたものがたくさんあり
ます。つまりは机に向かって句を作るのではなく、日常のルーチン
のなかにも句材は無限にあると言うことです。崇譜さんがこういう
ところに目を付けたのも大きな飛躍の一助になると思います。

  梅に雨つめたく春が不整脈           聡
 最高得点の句です。特に「春が不整脈」はこの季節を良く言い表
しているとの評価大でした。
良いところは皆さんが指摘しているのであえて言わせて貰うと、
確かに五・七・五で隙なく非の打ちどころなく出来上がっていま
す。ただあまりにも作りすぎている感がします。自由律はもっと伸
び伸びとおおらかでありたいと思います。句は作るものではなく、
ハートから生まれいづるものであって欲しいというのが私の思いで
す。

  白いペンキ垂らす作業服の男は鳩になる    ゆきこ
 この句のキモは男が鳩そのものになるというわけではありませ
ん。作業が終わって男が去ったあとの、ポタポタと落ちたペンキの
あとが鳩の糞のように見えたことから、「男は鳩になる」と言った
のです。ですから「作業服の」と言わなければと思ったことでしょ
うが、私はこの四文字思い切って割愛してもと思います。

  残雪に月並な鴉三々五々と散り        良 造
 鴉はイメージ的にダークな感じがします。東京の残雪はダーク感
ですが、新潟の雪は真っ白と思います。「闇夜の鴉」と違ってその
コントラストが絶妙です。良造さんの句には古武士的などっしりと
した安定感があります。それは海紅俳句の伝統の継承の一つの柱で
もあり、若い人の新しい感覚とどちらが良いというのではなく、時
代時代を反映して常に移ろっていく句、いつの時代も動かずじっと
残っていく句、どちらも大事な句でこれらの対比が海紅にはいつも
あって欲しいと思います。どちらも負けるなよという気分です。
 最後に良造さんからパソコンの画面を通して色紙の披露がありま
した。そこには「舌頭百転」と書かれてありました。簡単に言えば
句を百回唱えよと言うことです。句は文学として目で読むのだけで
はなく、言葉に出して熟れるまで読めと言うことです。それによこな
ってリズムもつかめます、そして目で追うだけでなく声に出すこと
によって見えないものも見えて来ます。これはこれからも伝えてゆ
きたいものです。

【スカイプ句会裏話】        大川 崇譜
 三月十八日に催された第二回スカイプ句会(句会後、菓子などつ
まみながら歓談になりました)の終わり、中塚社主に「スカイプ句
会での苦労話」を文章にしてほしいとご依頼を受けました。
 さりとて「スカイプ句会」ならではの苦労とは、。一度開催して
いますので、事前に投句を募ったり、リスト化して賛成句をまとめ
たり、というようなことに問題はありませんでした。強いて言えば、
今回は第一回と違い目黒区の住民会館を借りましたが、その様子が
わからない、そこが一番心配した点でしょうか。
 様子というのは、インターネット回線の速度と安定性です。会館
に回線はありませんので、ポケットwifi を借りることになります。
私はポケットwifi をスカイプでは使用したことはなく、どこでど
れを借りたらベストでリーズナブルなのか調べました。最良と思わ
れる機種の一か月レンタルと一泊二日のレンタルが同じ料金でした
ので三週間早めに借り、事前に会場に行き速度のテストをしました。
予想以上の良い結果(高速)が出て、そこから毎日熟睡です。目黒
区の住民会館の中には、半地下で回線はおろか携帯までつながらな
いところもありました(5~6会館調べました)が、今後は心配ご
無用になりました。
 当日、私のパソコンから音声がでない! というトラブルもあり
ましたが、皆さんの暖かな応援をいただき直りました。紺良造さん
も今回の冒頭はネット回線(あるいはスカイプのソフトウエア)が
つながりませんでしたがすぐ対応していただき、無事句会ができま
した。
 回線回線と難しいかのように記してしまいましたが、これからご
参加を検討中の皆様、通常は大変なものではありません。ちょっと
外付けのマイクを使おうとか、いつもの場所ではないところを会場
にしようとかという贅沢を考えるからであって、いつもお使いのパ
ソコン・スマートフォン・タブレットでだいたいはすんなり繋がり
ます。事前にテスト通話もいたしますので、ぜひ次回のご参加をお
待ちしています。