各地俳況2

十一月海紅社句会レポート       杉本ゆきこ
 
 十一月十八日午後四時参座五名、披講は唯人さん。
 この日の気候は、すっかり秋も深まり冬の訪れを感じられるような雲に覆われた空でした。参加は若い人はお休みが多く、落ち着いた年代の五人の意見と感想が交わされました。

 老い老い牡丹よりマジックテープ     崇 譜
 まずは崇譜さん。いつも独自の視点を持たれていて、そこがとても興味深いです。「牡丹」の花が出てきて、「マジックテープ」とは何でしょう。まるで、「花より団子」と言っているようです。最初の皆さんの見解ではわかりませんでしたが、崇譜さんが、実は、牡丹はボタンと言ったとたんに、謎解きのようにわかって来ました。
 ただ、句が最初は全体がわからなくても、持っているイメージはあると思います。老いとマジックテープで近しいご老人のことであろう? とはわかります。句がどんな人にもわかることも大事ですが、何を詠みたいのか?の視点を持つことはもっと大事ではないでしょうか?

 とうとうトートの取っ手がとれて裸・不乱・素(ラ・フランス)
                    
ころがる    
 ラップのような韻を踏んでる楽しい句です。聡さんは常に新しいことに挑戦しています。「裸・不乱・素」ですが、実は果物のラ・フランスです。皆さんの意見では、前半が軽快で面白いから、後半の部分はラ・フランスでいいのではないか? ということでした。また最後の「ころがる」が無くてもころがっているのはわかるという意見が多かったです。秋も深まる季節の微妙な空気を感じる、そんなラ・フランスのような新鮮な句だと思います。

 秋の夕暮れ少しちぎって手帳に挟む     ゆきこ
 自分の句です。吉明さんに「上手いこというな」と言われ嬉しくなりました。崇譜さんには、「色を感じる句ですね」ということでした。職場に一日中いるから、教室の窓や廊下の広い窓から風景を見ることが多く、いつの間にか木々も葉を落としています。そんな枯れ木の合間が、うすピンクからオレンジ色に変わる夕暮れは、本当に美しく気持ちも解れるようです。少しだけちぎってもいいですか?

 部分入れ歯それぞれ秋のクラス会      吉 明
 吉明さんの句は、時には少し毒があり、時には全く知らない世界に引き込まれていく魅力があります。そんな吉明さんの句は、最近は優しく人を見つめる句が増えてきています。この句は、そんな句の一つと言えるでしょう。
日常の中での微笑ましく優しい視点で仲間と自分の老いを素直に受け止めた句で、私は「老いていくのも楽しむのがいい」と励まされた気がしました。今後の「老いていく句」も楽しみです。

 空は柿色冬の熾火燃えだした        唯 人
 唯人さんは、ご自宅の回りを歩かれて句の題材にされることが多く、句の題材を自由自在に選んでいる所が面白いです。
この句は、二つの美しい日本の言葉が使われているのが素敵です。「柿色」と「熾火」です。画家の中川一政が「絵にも描けない美しさ」と言っていますが、その言葉が浮かびました。絵には表せない自然の美しい空気感を自由律句では表現できると思い、可能性を感じました。

 句会終了後は、和子さんの美味しいお料理にウイスキーで会話も弾み、楽しいひとときを過ごしました。ウイスキーはジョニ黒(ジョニーウォーカーの黒)が、懐かしい世代の五人の会話は時空間を越えました。
最後に、やみ
汁句会の話も出ました。
「もう今年も終わるの?」とビックリの私でした。