各地俳況2

 海紅社句会レポート           森 直弥

一月二十日午後四時参座七名、披講は聡さん。陽が傾きはじめてからの寒さが一段と厳しさを増してきました。新年最初の句会となった今回、年の瀬やお正月にまつわる句が多く挙げられ、賑やかな会となりました。

  宛名の先 影がのびる            直 弥
 まずは私から。「夕方であることがぱっと伝わる」「上と下を逆転させてみてもいい」といった、振り幅の広い評をいただきました。「のびる」は横須賀の同人優子さんの句に何度か登場し、ひねりの効いた使い方をいつも面白く思っていた言葉です。実験的な気持ちで用いたのですが、うまく自分の句に馴染ませることが出来ました。

  戌年の風が咬む              すすむ
こちらは新年らしい一句。「短い句ながら寒さをよく言い表している」など、多くの賛成を得ました。ここ数日の関東での寒波を想起させた点も大きかったのではないでしょうか。身近な言葉だけの構成ながら、読み手に奥行きを感じさせる句だと思います。「犬が(直接的過ぎて)つまらない」との評もありました。仮に同じ干支でも子や寅ではスケール感がおかしなことになりそうですが、ここは戌が最適と思われます。

  カレー鍋なるアジアの海原         崇 譜
 カレーという庶民的な食べ物から七つの海へと至る飛躍ぶりが、スパイスとして効いた句です。「カレーでも海でもどちらを想起しても面白い」「海原のスケール感がいい」などの評も。ファンタジー的な想像力も掻き立てられます。「カレーを華麗に置き換えてもいいのでは?」という某氏の見解には、同席した全員が笑いを堪えつつノーコメントを貫いたことをここに記しておきます。

  セロテープ切る程のあいさつにて霜を踏む   聡
 セロテープを切る行為そのものにフォーカスすることで、指先の感覚まで繊細さが伝わる面白い句です。ちなみに「原句は、挨拶にてすれ違う」とのこと。一方で「切る、踏む、事象二つを入れているから盛り過ぎた印象が」という指摘も。「句を分けてもいいのでは」との評もありました。

  地面でもう一度見せる赤い椿        ゆきこ
「椿はたくさん句があるがこれは別格」「こういう言い回しは初めて見た」「山茶花ではこうはいかない」など、多くの賛成があった句です。「見せるをあがくに換えてもいい」との評も。なにかと冬の句に登場する椿ですが、散ってからもなお人を惹きつける美。という、ゆきこさんの着眼点が冴える句です。

 次も椿の句。
  (海紅社へ続く道)
  赤い椿地図の無い町を捜す         吉 明
 矛盾を抱えた造語が光る句。類語に「顔のない男」を挙げた方もいましたが、サスペンスを想起できるところが読み手をヒヤリとさせます。ご本人曰く「句会へ来る途中で道に迷った」ことが題材。椿が白よりも赤の方が何か事件が起きそうな、そんな予感を孕ませています。ほどよい緊張感に包まれた句です。

  永遠にとは言いませんお正月日和ですね   唯 人
 三が日が明けて二週間ほど経ちましたが、心に響いた方がたくさんおられ賛成多数。「ですね」で結ぶことにより「屠蘇気分のような軽やかさ」がふっと立ち上がる心地の良い句です。「足早に過ぎ去る正月を惜しむ感じ」が滲み出ている、という評もありました。

 句会の後はお料理とお酒を楽しみました。特に割包(グワパオ)が絶品で、温かな肉まんの生地とトロリとした角煮の甘さがたまりませんでした。そしてデパ地下で売切れが続出している鎌倉紅谷「クルミッ子」。初めていただきました。口の中でとけるキャラメルの甘さと胡桃の食感が楽しい銘菓ですね。

自家製「花巻」

苺をお酒に入れてみました

 

 

 

 

 

 


私も次回は地元の美味しいをアピールするべく、横浜~横須賀の銘菓を持参しようか算段しているところです。