7月号の同人の方の句をアイウエオ順にア~サ行まで掲載します。タ行からは2に掲載しています。
浜 松 安達千栄子
竹の子ぐんと伸び山うずうず
五月の風連れ祭りラッパ堂々
目当ての店に辿り着けない空は思いっきり青
好物は父譲り寒天ゼリー放り込む
雨だれの音で眠れない
五月の雨は緑色思いっきり深呼吸
東 京 石川 聡
月をピックに弾く
タンポポぽぽぽぽほぼ綿毛
破れたポイですくうきもち
若枝アバラアバラを噴き出す
しのぎなし詩がないしごと傘もなし
もすこしきょうばししかしにほんばし
また馬鹿やったのねとシャクナゲ明るい赤は
浜 松 伊藤 三枝
明るい五月の空鳩はラブソング
屋上の旗めくシーツ青空を掃く
こんなにも青い空訳もなくなみだ
今青葉の海を泳いでいます
立葵一気に咲きのぼる五月の夏日
祭りの先陣大通りのブラス
東 京 岩渕 幸弘
爽 夏カラクリ純情なサイダーぽくぽく排他工場
タダラクに息ガできたらストロングと横でパ切る花
墓入り娘の形而上的自己紹介すぐ
海月はうみに溶け消えてゆく波足撫でる死にたくないヨ
ぱぴりぱリズムの発送ナルシZoom考えるバリカタ脳無
幾何学のラブをひとさじ弾リンク怪
夕焼けるそらにこぼした明日は七色
浜 松 大内 愛子
お隣りから豆ごはん熱あつの幸せ
ルーツの旅模索する時刻表
月と一緒にそら豆とむぎ焼酎
すみれ草踏んでしまった後ろめたさ
螢袋に恋するように見つめてる
東 京 大川 崇譜
二つ先どちらか横のタイルだけ踏むランドセル
半蔵門縦書きビルとビル昼と夜
時代遅れの二の腕冷やす地下鉄
99.99パー夏を遮るチャーハンだ
守るようにカーブする次はお茶の水
三年半そして値ごろなリップ買う
猫の子目があうそらさない私から
香 川 大西 節
雨上がり蕗を摘む両手いっぱいしずく
柿若葉透ける雨後の風
良くも悪くも独りぐらし夏大根すりおろす
野ばらはみだし山みち手の付けようもない
月見草雨の日はぼんやり考えない
金比羅山上り下り人人風がやさしい
空豆とび出した晴天つづく
東 京 上塚 功子
天神様の梅の実の下ひっそり二人静
タワーマンションの足元くすぐるエゴの花
荷銭の池カイツブリせっせと餌取り教育
貧乏草なんて牧野富太郎のハルジオン
さやのおくるみ飛び出してそら豆ご飯
黄金色競う未央柳と金糸梅どちらに軍配
四つ葉のクローバー見つけた夫の指先に幸福(さち)
福 岡 河合 さち
コロナ五類となって心のアクリル板
アクリル板はカラフルアクセサリーに変身SDG
左肩の副反応消えるときマスク外すとき
夏日スタート天神再開発きりん徘徊タワークレーン
母の日マフラーはカキツバタ柄藍と緑見え隠れ
お濠でバス待つ事四つん這いで四ツ葉探す
明けやらぬ雨に目覚め二年目柏葉アジサイの白
横 浜 空 心 菜
父さんと母さんのゐた柏餅
小父さんが傾いてゐる立夏かな
一人づつ老人座るベンチかな
メモを見て思ひ出すこと五月闇
ペンの影ノートの影や五月闇
台所の床のしめりけ五月闇
細竹を揺らす春風警報機
川 根 小籔 幸子
山も茶畑も一面のみどりに青春を感じ
何処か似ている主と犬の散歩
静かな雨の音山も木もみんな聞いている
あんぐり開いた鯉の口朝ごはんの合図
餌を啄む雉の子離れて親は見守る
山まあるく膨らんで穏やかな一日の始まり
夜中まで続く茶作りうまい茶になれ
福 岡 清水 伸子
数年ぶりに妹いらっしゃい猫とメダカ山笑う
初鶯に目覚めアヤメ咲く庭に降り
空港に送る半袖の人多く早や夏となり
いつものお茶屋さんマスクなしとりかわす笑顔
燕飛びかう町鮎とレモン買い
逗 子 杉本 由紀子
母の日嫌い手帳に印つけた
赤いカーネーションでしゃばり過ぎた
深海の底から通信する美術準備室
ちぎれ雲見たら死にたくなる
曇天の窓十七歳トントントン未来解く
枇杷の実いっぱい胸にかかえる祖母の姿
しわくちゃな顔しわしわな手で覆って隠した
東 京 千田 光子
鳥ファスナー開けてパンくわえ去る
家事お任せ体なまってずっこけた
宇宙ゴミ舞い戻る
頂辺の藤まわりの木々にご挨拶
日本製コロナの新薬オジャンですか
三百六十五日マスク手洗い防衛のみ
人の名が出ず名簿とかさがす事多し