12月号の同人の方の句をアイウエオ順にア~サ行まで掲載します。タ行からは2に掲載しています。
浜 松 安達千栄子
汗だくの夜申し訳なさそうに月のぼる
久々の宴会知らぬ間に招かざる人いて
ぐたぐた文句ばかりの一日だった
恥と図々しさが入り混じるじじばば会
すっぱい青切りみかん幼き祭りの思い出
残された大量の布残された君の思い
車のエアコン温風に変わる秋になったようだ
浜 松 伊藤 三枝
破れた蜘蛛の巣竿は貸し置く
赤まんま見つけし今朝空は既に秋
栗ご飯ほっこり炊け広がる夕焼
ここかしこ秋にしている木犀の香
広げた晴衣ラジオからマリンバ
蔓枯れの形のまま残る晩秋
東 京 岩渕 幸弘
ものさしでなんでやねんの距離はかる
一輪挿しにボクが挿さってクルりんパ
朝焼けまっ赤な怪獣がひよどり捕食したいか
早口で叫べモザイク現在地
「シね」という残穢ひらひら詩の墓に挿す
敗北を知りすぎた野の花の色静か
僕はフィクションを脱ぐそっと一駅ぶんの、■■をくるんで
浜 松 大内 愛子
秋の歌シニア仲間はのりのりハーモニー
ハンガーは長袖となり秋そこから
毬ぽっくり弾けて栗の実みつぶ
突き立てて案山子の着物ととのえる
若いカップル月も見ぬふりして雲の中
東 京 大川 崇譜
豚にかわって自負さがす
荒地盗人萩日帰出張一張羅
名刺がわり日替わり秋の素
野良そこらでふくふくしていく冬を知る
おととしは桃鉄だった秋晴れの讃岐行こうか
刈り込まれたいちょうクーピーペンシルの下段
加 須 大迫 秀雪
アメリカと名の付く草が枯れてゆく
屋上で秋の煙は静かだ
雨のフジバカマ響くお経
東北にみちびかれ風が、ド
ガガイモはカメムシを何とも思わない夕闇
哀しみのつめたいアマガエル
風。赤とんぼ。スズメバチ。
香 川 大西 節
そこそこにかたづけ遅い月の出を待つ
箒木草色付く独りぐらし買物に誘う
つる草をひきよせる秋が駆け足
風船かずら今日は何処迄足溜り
秋まつりよみがえる私の昭和
となり村からやって来る秋祭り
老いて友書き下ろす私小説
東 京 加藤 晴正
夕食ふと黄泉の国思う
黄泉の国あるか無しか洗濯機回る
真夏の光あこがれてストーブの熱波
甘い思い破壊した着信音
句読点無い休日の朝あける
思い出のあいま優先席ゆずられる
東 京 上塚 功子
おしとやかに十月桜満開
三文の得カワセミ不忍池へダイブ
栗を剥く親指人差し指が痙攣してる
酔芙蓉咲く大黒天へお賽銭気持ちだけ
体重のせてカット南瓜が美味い
腹式呼吸でユーミン歌う外れ気味
二日月消えぬ間に誰かに伝えよう
横 浜 空 心 菜
友達の満月を見る村祭
秋の雨静かにひとりカウンター
注連縄の注連の威厳や神無月
秋を行く軽自動車の笑顔かな
足腰のぎくしゃくとして落葉かな
正装の私に黒きボールペン
母さんは初枝と言って痩せていた
川 根 小籔 幸子
風の通り道椅子を置いて仲間入り
葉の隙間から色づく柿の実覗いてる
どこまでも青い空山の色は冬支度
親離れしない里芋家族ドスンと掘り上げた
土の中で一年過ごす彼岸花陽射しが眩しい
道端に名も無い花見つけ嬉しい元気
夜ひんやり途切れ途切れの虫の声聞き湯舟に入る
東 京 さいとうこう
キンモクセイ手紙の返事書いている
娘さんの方言のまま地酒買う
まひるの骨董屋のなんとなく神様
たい焼きをわる割る手の記憶
夕の灯りふえていくたとえば肉屋の二階
林檎の皮のらせん大河の母よ
鉄橋を渡るこの町の月のかたち
福 岡 清水 伸子
涼風に皆集まり座る夫の忌
みんな帰った鈴虫まだ鳴いている
満月澄みわたりふと思う七年の歳月
高い空侘しくて庭の小さな赤マンマ
枝が折れそう鈴なりみかん地につき
この分だと秋は二週間何もしないまま冬に
トップニュースは天候異変案じられる冬
逗 子 杉本 由紀子
三日月ひっぱってつかんで置いてかないで
毎日お母さんと息子の居酒屋でほーっと
ゆうちゃん着物パタパタおっとっと七五三
枯れ葉も思い出も踏み潰す
月の半分探しに行くよ
秋の夕暮れどんどん真っ赤になる電車
クリームシチューとおしゃべりするカレンダー十月
東 京 千田 光子
神無月駆け足で寒さ増す
満月みつめ友と私の長寿ねがう
九十才過ぎの知人白髪の私に戸惑う
公園で何げなく横見たら赤トンボ
松ぼっくり緑から茶に着がえてた
友痛い足にサポーターかっこよく巻き
大地に眠る母達にもノーベル平和賞を
新年号作品より
浜 松 安達千栄子
煎餅食べながら戦火のガザを見ている
ひかりの並木になっていた街は静か
大好きな本だけ残したお気に入りの本棚
何やってたんだあっという間の一年
暗転した舞台自然と眠り込む
東 京 石川 聡
あこがれ燻す視床下部
ぐい呑みは中手骨に熱燗
弁生粛々真夜を巡らす心臓弁膜
東雲の夢のパープルフォビアなの
浅漬ぱりぱり脳は脂で出来ているよ
シは駅です単線カタンコトン末枯野
ゆどうふふふふふふびどうしててまよ
浜 松 伊藤 三枝
霧は晴れ紅葉の山へバイク音
何んの葉か耀い散る山の路
月横切る飛行機ファンタスティックな夜
日だまりの小さき花に縋り冬の蝶
青空ぽかぽか枯れ草分け水仙
恙なく師走無人販売の柚子
東 京 岩渕 幸弘
コタツ号発進風がない夜の冬籠り
細胞が生きろというけど孤独は孤独
たばこの煙がオトナやれてる僕を褒めてく
かなしみの極地に立つかなしみくんはきっと全盲
かなしみをかなしみとよぶな揺らぐ愛の芽
空振りばかりで頑張りが胸に焼け石
春に死ぬこと春はやさしい
東 京 大川 崇譜
えいと捨てる思い出と靴
おしゃべり利き手の錆びていく
母国語のようにしみたはんぺん待っている
父の残り捨てにいく町一番に舗装された道
モスのチリソース髭に聖者がやってくる
香 川 大西 節
暮市顔見知り振りむく雪まじり
日暮れ冷えて来る猫が横切る
風の傷める臙脂の菊寄添い
この里にみんな忘れた蕎麦をひく
山の神苔むし黄葉はりつく
地蔵の頰打つ吹雪この先落合峠
わたしの小荷物竹皮弁当箱に詰めた小さな旅
東 京 加藤 晴正
見る飛行機のゆっくり飛行する
隣も一人者窓に明かりつく
呼ぶ声午後五時の夕焼け小焼けに溶ける
掃く人のかたちいつまでも無心
困り顔のこの弱っちい陽光
忘れかけた指切り列車待つ
横暴な足場星月夜にそびえ立ち
東 京 上塚 功子
ワイワイガヤガヤ落葉の大木で小鳥たちが会議中
柿たわわ上野の山に熊の出没警報なし
白いおくるみからマユミの赤い実おはよう
冷える朝楊枝のクロモジ葉は黄一色
鴨続々不忍池の冬景色になる
ロダンの考える人孤独の背に降るイチョウ
スマートになった人薄氷の池を今朝も六周
福 岡 河合 さち
剪定遅れて庭を彩る杏と辛夷の葉いっぱい
庭一面落ち葉踏み踏み春に繋げる
耳元で四歳おめでとう虚ろな眼でありがとう
万国共通平和のシンボル幼子の片笑窪
まっ白山茶花開いた私の彦星に会えた
山茶花咲いたこの一輪は新年の箔
いよいよ来た悴む手で結露を拭う
横 浜 空 心 菜
おにぎりの海苔が破けてちらかりぬ
若者の派手な作業着十二月
飼猫のしらあと通る炬燵かな
枯れつ葉は捻れて隅に溜まつてる
バスの中鏡で見てる運転手
階段を下りて行く私の長い影
カーブする大型バスや冬茜
川 根 小籔 幸子
毎朝気になる高木の取り残しの柿
千切り大根寒風にさらし黄金色の好物待つ
陽だまりの老婆青空に遠い思い出見てる様
自粛中ふっくら鯛焼き横目で通り過ぎ
山の冷気しんしん凍みて人も猫も皆小走り
枯れ葉落ち血管まる出し天を突く
穴だらけのキャベツに太った青虫天下泰平
福 岡 清水 伸子
三十年ぶりに友お互い娘付きです天神秋の光
夏日から寒さ襲来椿赤咲く
帰りみち太った犬なでて会話する
カニサボテン二度目ピンク一輪気高く立ち
庭からつづきのような坂道池が見え師走の雨
昨日25度明日から雪笹ユリ白く一本
浜名湖に思いひきずって今年も暮れる
逗 子 杉本 由紀子
泣いても笑ってもないポインセチア
クリスマス前後クスクスわらいで誤魔化す
冬休み前の学校静かにサイコロ転がす
壊れている年の瀬新しく修繕する
きよとゆうとケーキ切って苺はふたつずつね
ふぁんふぁんふぁんにも慣れた師走の踏み切り
由紀子ばあば誕生日おめでとう
東 京 千田 光子
鉛筆の記号Bが多くなり
突然の寒風フードで凌ぐ
お墓参りお寺分からず双六なみ
秋刀魚スマートすぎて食欲わかず
趣味で使用の針我を苦しめる
整理整頓でまず兄に当たる
明日が有るんだ自分でまいた種刈ろう
二月号作品より
浜 松 安達千栄子
煎餅食べながら戦火のガザを見ている
ひかりの並木になっていた街は静か
大好きな本だけ残したお気に入りの本棚
何やってたんだあっという間の一年
暗転した舞台自然と眠り込む
東 京 石川 聡
あこがれ燻す視床下部
ぐい呑みは中手骨に熱燗
弁生粛々真夜を巡らす心臓弁膜
東雲の夢のパープルフォビアなの
浅漬ぱりぱり脳は脂で出来ているよ
シは駅です単線カタンコトン末枯野
ゆどうふふふふふふびどうしててまよ
浜 松 伊藤 三枝
霧は晴れ紅葉の山へバイク音
何んの葉か耀い散る山の路
月横切る飛行機ファンタスティックな夜
日だまりの小さき花に縋り冬の蝶
青空ぽかぽか枯れ草分け水仙
恙なく師走無人販売の柚子
東 京 岩渕 幸弘
コタツ号発進風がない夜の冬籠り
細胞が生きろというけど孤独は孤独
たばこの煙がオトナやれてる僕を褒めてく
かなしみの極地に立つかなしみくんはきっと全盲
かなしみをかなしみとよぶな揺らぐ愛の芽
空振りばかりで頑張りが胸に焼け石
春に死ぬこと春はやさしい
東 京 大川 崇譜
えいと捨てる思い出と靴
おしゃべり利き手の錆びていく
母国語のようにしみたはんぺん待っている
父の残り捨てにいく町一番に舗装された道
モスのチリソース髭に聖者がやってくる
香 川 大西 節
暮市顔見知り振りむく雪まじり
日暮れ冷えて来る猫が横切る
風の傷める臙脂の菊寄添い
この里にみんな忘れた蕎麦をひく
山の神苔むし黄葉はりつく
地蔵の頰打つ吹雪この先落合峠
わたしの小荷物竹皮弁当箱に詰めた小さな旅
東 京 加藤 晴正
見る飛行機のゆっくり飛行する
隣も一人者窓に明かりつく
呼ぶ声午後五時の夕焼け小焼けに溶ける
掃く人のかたちいつまでも無心
困り顔のこの弱っちい陽光
忘れかけた指切り列車待つ
横暴な足場星月夜にそびえ立ち
東 京 上塚 功子
ワイワイガヤガヤ落葉の大木で小鳥たちが会議中
柿たわわ上野の山に熊の出没警報なし
白いおくるみからマユミの赤い実おはよう
冷える朝楊枝のクロモジ葉は黄一色
鴨続々不忍池の冬景色になる
ロダンの考える人孤独の背に降るイチョウ
スマートになった人薄氷の池を今朝も六周
福 岡 河合 さち
剪定遅れて庭を彩る杏と辛夷の葉いっぱい
庭一面落ち葉踏み踏み春に繋げる
耳元で四歳おめでとう虚ろな眼でありがとう
万国共通平和のシンボル幼子の片笑窪
まっ白山茶花開いた私の彦星に会えた
山茶花咲いたこの一輪は新年の箔
いよいよ来た悴む手で結露を拭う
横 浜 空 心 菜
おにぎりの海苔が破けてちらかりぬ
若者の派手な作業着十二月
飼猫のしらあと通る炬燵かな
枯れつ葉は捻れて隅に溜まつてる
バスの中鏡で見てる運転手
階段を下りて行く私の長い影
カーブする大型バスや冬茜
川 根 小籔 幸子
毎朝気になる高木の取り残しの柿
千切り大根寒風にさらし黄金色の好物待つ
陽だまりの老婆青空に遠い思い出見てる様
自粛中ふっくら鯛焼き横目で通り過ぎ
山の冷気しんしん凍みて人も猫も皆小走り
枯れ葉落ち血管まる出し天を突く
穴だらけのキャベツに太った青虫天下泰平
福 岡 清水 伸子
三十年ぶりに友お互い娘付きです天神秋の光
夏日から寒さ襲来椿赤咲く
帰りみち太った犬なでて会話する
カニサボテン二度目ピンク一輪気高く立ち
庭からつづきのような坂道池が見え師走の雨
昨日25度明日から雪笹ユリ白く一本
浜名湖に思いひきずって今年も暮れる
逗 子 杉本 由紀子
泣いても笑ってもないポインセチア
クリスマス前後クスクスわらいで誤魔化す
冬休み前の学校静かにサイコロ転がす
壊れている年の瀬新しく修繕する
きよとゆうとケーキ切って苺はふたつずつね
ふぁんふぁんふぁんにも慣れた師走の踏み切り
由紀子ばあば誕生日おめでとう
東 京 千田 光子
鉛筆の記号Bが多くなり
突然の寒風フードで凌ぐ
お墓参りお寺分からず双六なみ
秋刀魚スマートすぎて食欲わかず
趣味で使用の針我を苦しめる
整理整頓でまず兄に当たる
明日が有るんだ自分でまいた種刈ろう