9月号の同人の方の句をアイウエオ順にア~サ行まで掲載します。タ行からは2に掲載しています。
東 京 石川 聡
耳鳴りに歌詞つけるの
ときどき時を溶かしているの
ステッキを百回突いて花にするの
豚バラがカピバラしている鍋ですの
羞恥心ちょくちょく肩先に巣をつくるの
紫陽花ひとりでに燃えないか雨の弱った午後の
ショソン・オ・ポム噛むリデンプション・ソング鼻歌の
浜 松 伊藤 三枝
星ひとつ流れた秘密めく空
炎昼の揚羽花は蜜惜しまず
今日を呑み込む夕焼グランドノックの音
長雨の向日葵膨らむ不快指数
蝸牛身を伸ばす梅雨買い物難民
愛称で呼びくれし最後の叔父逝く空深
浜 松 大内 愛子
恩師亡きあと心よせあう句会は続く
浴衣のうなじエスカレーターの視線
軽トラ囲み新鮮野菜われ先と
セミの抜け穴数えている予定のない朝
入院して来ますねがあっけない友旅立つ
見たい食べたい行こうか八十路の心うずく
香 川 大西 節
じいじの西瓜包丁入れるみんなの目線
朝顔三つ目花付けた手を添え
ミニ石榴丸くまあるくあかつぼ仏たち
せなの児とともに濡れる遠い田植歌
草ひとひろ流れゆく梅雨寒
ミント一むら雨の日はしずみがち
山の水あふれ一筋足元に分かち
東 京 加藤 晴正
日傘並んで笑いあう
開かずの踏切に居て爆夏の空
大道芸大きな声で小さな手品
あなたの物語に拍手する
頬張れないサイズの氷だった
待ち時間が並んでいる
ひとりがいいと話せる友人がいて
東 京 上塚 功子
風鈴売り懐かしの音色アンサンブル
梅雨入りとなりピノ一粒口に放り込む
朝顔市鉢二つ三つぶら下げ帰る江戸風情
紅色ずどーんアメリカフヨウに母懐う
夏の一日友と語れば色々あったとさ
暑い日の食欲ぐつぐつ煮込みハンバーグ
作務衣のゴム通し蝉一号高らか
福 岡 河合 さち
団地庭なしに土地高騰凌霄花も消えた
あす中総体へ向かう孫は丸刈りにして来た
氷パンパン詰めて熱気ムンムン孫の背中押す
遠くで雷近くの雷明日から孫たち夏休み
この夏も降っても晴れても警戒アラート鳴りっぱなし
お堀埋めつくした蓮の大輪夢心地
緑の柿実一つ見つけた梅雨明け間近
川 根 小籔 幸子
まんまる紫陽花垣根を越えて転がりそう
水中ウオーキング身の軽さに水と戯れ
軒下で花ジュース作った遠い昔のままごと
夏の雨葉ごと違うお喋り音色
ねむの木の下で一服山も空気も天下一品
黄色のくちばしに次々と餌を運ぶ子育て燕に感動
梅雨明けて水分たっぷり草木の勢いに降参
福 岡 清水 伸子
浅草の路地にまぎれたいほうずき市始まった
裏の静けさ賑やかさ二メートルになった紫陽花
いろんなものが変ってく葉っぱの下南瓜丸々
紫陽花にしとど雨労りの言葉身にしみ
合歓が咲く家老犬はもういない
東 京 千田 光子
予報は雨洗濯機回す室は湿度八十
気が付くとくつ下穴二つ
墓参り鬼百合にかこまれ袖に花粉
体に良いと枇杷の葉干し飲む友人
野菜室キャベツ出せば小さい蝸
クーラー音声が出て内外の気温他知らせる
10月号作品より
浜 松 安達千栄子
ドクターヘリ飛んでいる酷暑の夜
夏バテ野良ねこ風の道をさがす
暑いねと言い続け八月終わる
戦いはまだ終わっていない沖縄を思う
スイカと唐揚げ並べ婆は孫を待つ
見あきた入道雲明日はなくなれと祈る
東 京 石川 聡
罫のないノート胸に飼う
凌霄猛然 子午へ懸崖する
立秋の夜雨の道がなまぐさい
ガジュマルは妄想を根に貯める
文脈が声変わりして時を埋める
あなたへの残暑消してシャンパーニュ
花ことば蒔くよ部屋の景色かえたくて
浜 松 伊藤 三枝
遠雷に猛ける草さえ一雨ほしい
近ずき遠のく救急車白湯を飲む
風過ぐる原白百合精霊のごと
無沙汰を詫び墓にたっぷり冷たい水
桃を剥く手抜きばかりの夕食に
夕焼少し秋の色子らの燥ぐ声
浜 松 大内 愛子
夏祭りひと役かって出店のおばさん
床はすり足夏の定番布ぞうり
足元に飛べないでいる蝶の命
夏雲はもくもく空いっぱいにうめつくす
久びさに口紅させば振り向かれ
香 川 大西 節
信号機青に変わる背中押す熱気
盆灯籠に灯をともす熱かった一日
紫陽花の毬(まり)かたづける誇り輝いたその時
定刻の列車に乗る百日紅たかく色増す
裏庭の狭間夏水仙楚々
あつさにならされる西瓜小粒
あさがお三本三様に手を拡げるあたり
東 京 加藤 晴正
鏡に他人が入ってる
罰のように酒を注いだ
べたべたに張り付いた夏をめくろうとする
とろけたこの街の夕暮れの音
日章旗棒に巻き付いて休みの国
猫背にて流行漫画のTシャツを着て
仰向けに落ちた蝉夏また明日来るまた夏
東 京 上塚 功子
ひろみのアチチアチつい口つく炎天
夏祭りに誘い出されたせっかちな蟋蟀
桃好き娘ふるさと納税でたっぷり食べたとさ
ルーブルベルサイユ私も一緒に走る五輪マラソン
出番が早すぎる桃が店先で膨れっ面
お初の梨はさんで孫娘社会人二年生の会話
草にしがみつく空蝉あなたはアブラゼミなのミンミンなの
福 岡 河合 さち
朝のお勤め里帰りの一年生チ~ン係
デカくなった孫と行くコンビニも新感覚
ジリジリと十人が十人かかわる墓参り
着替える孫と毎年これが最後と水着きる夏
姉は妹にナスの煮浸し教わり夏のお土産に
スカッと二本のホームランと宿題と終わった夏休み
空港で手を振る夏のドラマが終わった私の時
川 根 小籔 幸子
蔦にしがみ付く空蝉何処で鳴くのか短い命
山を揺さぶる雷鳴にただうずくまり時を待つ
でこぼこ道の八十路坂一服してまた登る
グリーンカーテンをすり抜けて涼風部屋を一廻り
朝顔の蔓先当てもなく一日中ゆらゆら
ひと山向こうは雨涼風通る夕暮れ
赤トンボの群れ線香花火のように楽しい乱舞
福 岡 清水 伸子
炎天一日ぐずぐずと終え冷やっこ
沸き上がる入道雲今夜はゴーヤチャンプル
畑のキュウリオクラいただく陸若布も入っている
パリ五輪始まる朝の食卓クロワッサン
友見舞いリハビリ病院を出る暑さ少し緩み
公園木陰遠い空の友に献句
逗 子 杉本由紀子
日は今日より嬉しい明後日は明日より嬉しい
笑顔いっぱいいっぱい持っていくね
夏空が去る前の駄々っ子
夏花火ポーンポーンと秋を呼ぶ
百日紅どうしてマゼンタ
今わかった嘘つきバッタの涙
とんとことことん祭り囃子覚醒する
11月号作品より
浜 松 安達千栄子
ドクターヘリ飛んでいる酷暑の夜
夏バテ野良ねこ風の道をさがす
暑いねと言い続け八月終わる
戦いはまだ終わっていない沖縄を思う
スイカと唐揚げ並べ婆は孫を待つ
見あきた入道雲明日はなくなれと祈る
東 京 石川 聡
罫のないノート胸に飼う
凌霄猛然 子午へ懸崖する
立秋の夜雨の道がなまぐさい
ガジュマルは妄想を根に貯める
文脈が声変わりして時を埋める
あなたへの残暑消してシャンパーニュ
花ことば蒔くよ部屋の景色かえたくて
浜 松 伊藤 三枝
遠雷に猛ける草さえ一雨ほしい
近ずき遠のく救急車白湯を飲む
風過ぐる原白百合精霊のごと
無沙汰を詫び墓にたっぷり冷たい水
桃を剥く手抜きばかりの夕食に
夕焼少し秋の色子らの燥ぐ声
浜 松 大内 愛子
夏祭りひと役かって出店のおばさん
床はすり足夏の定番布ぞうり
足元に飛べないでいる蝶の命
夏雲はもくもく空いっぱいにうめつくす
久びさに口紅させば振り向かれ
香 川 大西 節
信号機青に変わる背中押す熱気
盆灯籠に灯をともす熱かった一日
紫陽花の毬(まり)かたづける誇り輝いたその時
定刻の列車に乗る百日紅たかく色増す
裏庭の狭間夏水仙楚々
あつさにならされる西瓜小粒
あさがお三本三様に手を拡げるあたり
東 京 加藤 晴正
鏡に他人が入ってる
罰のように酒を注いだ
べたべたに張り付いた夏をめくろうとする
とろけたこの街の夕暮れの音
日章旗棒に巻き付いて休みの国
猫背にて流行漫画のTシャツを着て
仰向けに落ちた蝉夏また明日来るまた夏
東 京 上塚 功子
ひろみのアチチアチつい口つく炎天
夏祭りに誘い出されたせっかちな蟋蟀
桃好き娘ふるさと納税でたっぷり食べたとさ
ルーブルベルサイユ私も一緒に走る五輪マラソン
出番が早すぎる桃が店先で膨れっ面
お初の梨はさんで孫娘社会人二年生の会話
草にしがみつく空蝉あなたはアブラゼミなのミンミンなの
福 岡 河合 さち
朝のお勤め里帰りの一年生チ~ン係
デカくなった孫と行くコンビニも新感
ジリジリと十人が十人かかわる墓参り
着替える孫と毎年これが最後と水着きる夏
姉は妹にナスの煮浸し教わり夏のお土産に
スカッと二本のホームランと宿題と終わった夏休み
空港で手を振る夏のドラマが終わった私の時
川 根 小籔 幸子
蔦にしがみ付く空蝉何処で鳴くのか短い命
山を揺さぶる雷鳴にただうずくまり時を待つ
でこぼこ道の八十路坂一服してまた登る
グリーンカーテンをすり抜けて涼風部屋を一廻り
朝顔の蔓先当てもなく一日中ゆらゆら
ひと山向こうは雨涼風通る夕暮れ
赤トンボの群れ線香花火のように楽しい乱舞
福 岡 清水 伸子
炎天一日ぐずぐずと終え冷やっこ
沸き上がる入道雲今夜はゴーヤチャンプル
畑のキュウリオクラいただく陸若布も入っている
パリ五輪始まる朝の食卓クロワッサン
友見舞いリハビリ病院を出る暑さ少し緩み
公園木陰遠い空の友に献句
逗 子 杉本由紀子
明日は今日より嬉しい明後日は明日より嬉しい
笑顔いっぱいいっぱい持っていくね
夏空が去る前の駄々っ子
夏花火ポーンポーンと秋を呼ぶ
百日紅どうしてマゼンタ
今わかった嘘つきバッタの涙
とんとことことん祭り囃子覚醒する