海紅俳句 1

7月の同人の方の句をアイウエオ順にア~サ行まで掲載します。タ行からは2に掲載しています。

            東 京  石川  聡
雨の哀調帯び愛鳥日
都会では雨/うすい毒
夏立つカクタスから花芽
夏掛めくる飛び立つ夢の痕
日々雨を爛々空き地を狙うドクダミ
世界からはじかれムシムシ紫陽花の道
せいのせいの、せいので踏んでゆく青野 

            浜 松  伊藤 三枝
ラベンダー焦らし白蝶行ったり来たり
花あやめ雨に放つ群青の色
隣更地になったしとしと今日も雨
やっと晴れて雀のおしゃべり止まらない
水田静かひかりあふれ田植え待つ
赤い小さな花買った遠い母の茜空

             東 京  岩渕 幸弘
あなたの目のなかのわたしは笑ってばかにさびしい空想写真
まあいいかとこの頭も地球もおんなじマル
のぼり損ねた納豆豆の着地海底
虹がかかったって魚がかかったみたいであああくびでたよ
マダガスカルに置いたまま大人びたポカリ
がぎぐげごからあぶれた五月病患者の手記
指が爪を食べてるけど止めない

             浜 松  大内 愛子
蕗むいて指先までも野の香り
藤棚真盛り香りの中の人の声
お茶の初競りシャンシャン手拍子小気味よく
気に入りグラスにどくだみ草然りげなく

             東 京  大川 崇譜
5月の雨    中学生   スネア   民話を覚えている
梅雨の柄(え)をノーノーまわしてくれないと
簡単なお仕事です無縁なひとびとの心配をする
夏にリードしたポプラ班の班長
代用されるヤングコーン ぼくらは
シャケを焼き親戚の悪口の昭和
ノーウェイパラグライダー田植えの上

            加 須   大迫 秀雪
この沼の華やぎ度18 ハナヤエムグラです
あるころにぃ寝転べばハナアブ耳にやさしい
霧の朝 林縁の雀の槍もどされている
有毒なほど妖艶な金平糖
『此方暗』からつるのびるつるにまかれつる
革ジャンの余韻かげぼし
妻の職場にミニソフト買いにゆく

            香 川     大西  節
誰かが裏口へまわる咲きほこるジャスミン
水音はげし山懐たけの子蕗を煮る
空豆とび出す手元心地良い風
はるか閉山廃村危ぶむ御衣黄桜一樹
落椿はきよせる声々
雨の日は無口うつぎ真白に埋め
取り残された柚の実うしろから肩たたく

           東 京  笠原 磨秘頭
蚊柱ホーロー看板錆びて

水音たて蜥蜴の後ろ姿
砂利の響きに静か
鈴は鳴らず垂れ下がり
足音土壁の響
ほろ酔い開けた窓に小鳥の声
突然雨大きな葉を叩く

           東 京  加藤 晴正
砂をかむような日に博打にでた
曇り空支える電柱をぬって歩く
こんな夕陽はしわくちゃにしてやる五月
嘘も知っているカーテンの花柄
真っ赤な絵の具が足りない自画像
今日も雨だった後悔はしていない
逆上がり青空に跳ね返された休み時間

           東 京  上塚 功子
緑の池を燕すれすれまた舞い上がる

かいつぶり蓮浮き葉潜り15秒
葉桜の風四十雀鳴き歩み弾む
躑躅無残季節は優しくない
実盛坂の急階段避け山法師の坂道
今年もこの家薔薇咲かせ路地は花園
落選七回目ああ遠い双子パンダ

           福 岡  河合 さち
マンション外壁工事で紅万作がんじがらめ

春に下ろしたてスニーカーステップスピードアップ
麦秋晴々70過ぎてセグウェイ乗りこなす
冬物7枚押してもみ洗いアイロン掛けて断捨離は次回
沖縄返還50年としたら結婚47年だね
沖縄新婚4年間やまとんちゅうへの目
沖縄を亡夫と語り合う47年目の記念日

           松 阪  河内 秀斗
勇気の朝モンシロチョウになった雪
空あばれる雲ひきちぎる
草起き上がる私の足跡を消す
傘さして私も影
蛇口の水落ちる何が追うてくるやら
秘密の恋は指のすきまにしまう
歩くなら前がよい緑の道

           横 浜  空 心 菜
地下街をしつとり歩く
菜種梅雨

パトカーがこつそり曲がる春の雨
ダイエット帳に汁のしみつき春寒し
カーテンのもつれもしない春の風
幾度も分かつてくれと言つたのに
公園に突つ立つてゐるチューリップ
傘さして話しながらの春の雨

                                          東 京  小早川すすむ
君のそばかす春に画竜点睛
全外階段に等しく五月の足
伏せる男の口に住む蜂鳥
麦茶のむ喉が鳴る夜の廊下が鳴る
毎日香とマックフライポテト立つ仏間
人死んで数字にして分ける
深夜2時焼き尽くすツツジ

           川 根  小籔  幸子
芽吹く山モザイク柄のファッション

まあるく膨らんだ山の懐で一服
つばめの子風を捉えて自立の瞬間
縮む背丈思いっきり背伸びしてシーツ干す
鶯鳴きつばめ飛び交う朝枝豆顔出した
冬を越え頑張ったエンドウ手のひらでほほ笑
深川万年橋 芭蕉翁座像
植林する農夫百年先の夢語る

           東 京  さいとう こう
んにも知らないふりして躑躅満開

晩春どことなく綺麗なティーカップ
忘れ物ばかりアイスクリーム溶けていく
割れた皿を拾う家庭のふたり
真向あおい空だ本音さらりと隠す
夜半しずかな炎としての薔薇

           福 岡  清水 伸子
逃げまどう人々石畳の美しい五月を
目覚めて今日も生きる囀りと青葉が友
一日中庭仕事してくれる子菖蒲咲き誇ってる
朝はうれしい事夜は悩みの電話
鶯の声白塀にひびき私をまねく
あの頃は六人のくらし今夜の竹のこ御飯
もうすぐ山笠マスクのない夏よ来い

           逗 子  杉本 由紀子
男が気がつけば皿を洗う
悲しみの層ばかりが重なる
緑の力分けてください
マザー牧場で母を探し歩いた
5月の風に煌めくマゴコロ
自分のストーリー作るんだ
よっつになったのシロツメクサの冠

           武蔵村山 千田 光子
もう梅雨五月晴れはないの

丸坊主の木やっと緑の衣付け
月木曜日はカラスの集会日
鉄マンみたいに新幹線のホームに立ちたい
甘えすぎ洗濯物干して下さい
病院の梯子私ガンバレ
先生の大声でズバリ言われてすっきり