海紅俳句 1

月号の同人の方の句をアイウエオ順に今回はア~サ行まで掲載します。
   タ行からは2に掲載しています。 

                   浜 松  渥美 ふみ
家主のような顔で大蜘蛛巣のまんなか
公園人影なく鳴き放題の?
空襲も見てきた大火鉢布袋葵の花
更地になったばかり次世代の草伸びている
ぐずる男児(こ)にむりやり花火の浴衣
炎暑地球の悲鳴か救急車のサイレン
トロロアオイは一日花同級生また減った

              浜 松  渥美ゆかり
蝉の穴土にいくつか庭木真夏の匂い
朝の緑にうもれ赤い木槿の目覚め
生まれて鳴きくらし寺の繁みの空?
往生願う空しさ蝉時雨
空?枝にしがみつく祭花が五本
真夏まっ白い雲に罪はないとめどない汗
桃の肌色に嫉妬夕べのなにげない風

              東 京  石川  聡
アツサ狂チクトウ
特急通過もう夏が半分
あけぼのの雫からつゆ草
夏のまんなかにぼんやり立ち葵
きゅうり揉む浅漬けほどの恋がいい
消えた契約かみしめる「青天の霹靂」
手絞り知恵しぼりこの夏のチューハイ

相模原  院瀬見美登里
施設に移った友のこの夏のはがき
ミンミン蝉なきなされ久々のステージ
すみれがまだ咲くのですヨコハマからたより

              浜 松     伊藤 三枝
女二人ぽんぽん西瓜の品定め
雨後の空四方八方蝉の攻撃
ケアホーム向日葵の昼誰もいない
花火終わる疲れた浜に月見草
さまざまの夏波が消し去っていった
隣は泣いたり叱られたり親子の夏休み
雨雲次々百日紅は能天気

              浜 松   大内 愛子
大きなスイカ抱え立ち話の一っ時
祭の夜冷や酒ほんのり温もってくる
線香花火の向こう光に明るい母子いる
神社古木埋もれさい銭の音だけ
蟻の繁殖恐怖の弱腰背に熱いひざし
妻には定年はないまな板大根輪切りにする
足のつま先冷えています陽ざしにかさしグーチョキパー

              東 京    大川 崇譜
礼状手書きだった夏のいい人
あなたのやわらかいかさぶた雨はがしてく
山肌の齟齬わからないよう埋めた梅雨
東京湾にウニはいて拾ってブローチつくる人(博物ふぇす)
中流潤っていく流しそうめん
うるめいわしマドラー代わり女やっかい

              香 川  大西  節
ひと風吹いたばかり怖い話ききたがる
凌霄花塀をまたぎ覗いている
余所見ばかりの犬をひく散歩
土佐は大粒のやまもも肩にあたる
小魚あたまからかぶりつく今日の暑さ
蟻の列右往左往不安定な足もと
雨に立ちつくす合歓の花まださめぬ谷間

              防 府  岡原 舎利                
酷暑の布袋腹もてあます
耳鳴りと蝉しぐれ一面
そうめん三束茹でつつツクツクボウシ
不動火炎呪酷暑なれども
ありがたい長寿茶よ急須がない

              氏 家  折原 義司
薫風思いきり浴びて心洗われ
さつきの剪定に夢中で熱中症に
梅雨晴れ赤白青と紫陽花競う
車の免許目の検査なんとかパス乾杯だ
蛍の群に混じって乱舞したい私

              福 岡  河合 さち
雨風極端が極端生む自然の驚異
蝉の屍コロコロそれでも猛暑
慈恩の滝ミストみんみん蝉いるはずないのに
ジリジリ歩いてキーンとミントのかき氷(大分旅行二)
布団に孫三人ゴロゴロ夏の風物詩
孫達帰る日初物サンマ分けた
夏の忘れ物ペディキュア黄は派手かな

              足 柄     河合  禎
甲子園うらやむ若さは今年も
サイレンが平和に響く今良か
終戦日孫たち皆平和
秋祭り子供神輿を待っている
台風 大雨 竜巻 何も無き里の夏

              東 京     笠原マヒト
山道に人はいないが並木
白いガードレール苔が生え
遠くで声やっとか
田舎駅静かにポツリ
波紋池の鯉ヒラヒラ
ひとりと思っていたら自転車
木のベンチ疲れた脚が

              国分寺  梶原 由紀
サンダル洗う何度も生きてやる
猛暑は蛇行シュークリーム特売の列
どの浦和も夏休み
パーリーピーポーに囲まれる
モッシュウエーブウェイウェイゲラウェイ
マクドナルドの補色となり長雨
まっすぐな傘をさがす

              横 浜     空   心   菜
信じるものを疑ふ
太陽が後ろから刺す
恐る恐る本当のことを言ふ遊び人
スプーンがある八月二日午前三時二十五分
太陽をもつともつとと言つた時
森のあるこの空間の夏休み
とぼとぼと生きる気持ちとなりました

              大 仙  熊谷 従子
盆踊り「ドンパン音頭」の迎え火です
辻褄の合わない話、親離れ、子離れ
余生の一ページに夏祭りの輪に入る
八月の空へ消せない幻がある
凌霄花の高さ未来が見えますか
送り火焚いて夫との対話温める
レタスちぎるとシャッターの音がした

              東 京     小早川すすむ
みんみんと鳴く水茄子噛み殺す
みちっと詰まった雲切断面
アパートを回遊夏の背びれ
黒蜜を敷き詰める熱の街
ふと顔の高さに過去のもや
山羊の輪郭薄くなり白百合 
深夜を飛ぶコンビニ乗組員二人

              川 根  小籔 幸子
線香花火勝手に飛び散り喜ぶ子ら
炎天の木陰は痩せ細りもう昼だ
朝の緑区民揃ってラジオ体操
池の淵カエル動かず炎天百日花見ている
雨だれトタンと遊ぶ雨の一日
バッタ跳びトンボ舞う草の匂は秋
終わることない雑草との戦いそんな夏終わる

              見 附  紺  良造
朝顔を窓に這わせて老いの日を重ね
のうぜん花見頃と小鴉に呼ばれた
くらし誇示して石榴点々花綴り
蜩聞いて故郷への憶い深くし
さながら家系図のよう葵咲き昇り
今日も今日とて白百合の香が漂い
住めば都よ紫苑に肩を並べる

              東 京     さいとうこう
ともなく花火の音
「西藤くん、夏、終わるよ」すこし笑っていた
詮方なし短夜のロードショー
シュトルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)!…とは程遠く三十才
今日の雨は今日自身にのみ似る
胡瓜もぐ祖母の血管が太く
終戦日家系図阿弥陀凸凹

              福 岡  清水 伸子
ミニ薔薇咲き出したエミさん大輪咲いたかな
ブルーベリー実たわわ明日孫達やって来る
記録の三十九日熱気駆けぬける
炎天せっせと猫はメダカの水のむ
晴はれ猛暑三十九日目思考なし
ベランダから花火やっぱり黒猫抱いて
海の神沖ノ島は女人禁制行ってみたい

              秋 田  菅原 瓔子
右も左も戦争いやだと七夕かざり
夕日海を赤く染めうごかない
夜空が見守る竿灯ゆれる人揺れる
再会の笑い弾ける線香花火
象潟の海と西施の像とねむの木賑わい写す
握った手離さない母と蝉時雨の中
パプリカ採れた黄色い夫のポロシャツ

              横須賀  杉本ゆきこ
黒いお城と水と風が夏休み映す
百日紅しゅわしゅわピンクシャンパン
盆休みゆっくり爪を切る
風鈴が揺れるよりミサイル発射
雨粒止まらず泣いているボブマーリー
白い雲地面から生えてきた
伸びすぎた紅いカンナ後悔ばかり

             武蔵村山   千田 光子
訪日外国人築地でお寿司私も行きたい
ポケモンGOゲーム団地の隣りで発信
早朝より洗濯簾の代わりに干しまくり
八月十五日年を重ねるたび思い熱く
高崎観音化粧直し二十一世紀に向かう
観音様のお顔に見ほれ暑さに負けず足もとへ
体温より暑い夏おそれいりました