海紅俳句 1

月号の同人の方の句をアイウエオ順にア~サ行まで掲載します。
タ行からは2に掲載しています。

              浜 松  安達千栄子
空の色ちょっぴりもらってセーターの色
七草の歌うたってコロナ退散
小鬼二匹いばって豆まき
新聞配達の音聞こえたやっと朝
赤ジュータン静々宝塚デビュー
涅槃団子チューリップ模様今どきに

              浜 松  渥美 ふみ
金襴の衣裳も冷えびえ雛の顔憂う
空っ風にたじろぐ歩行者信号点滅す
きのうより明るい空へ雨戸開ける
雪の欠片こぼしこぼし他県ナンバーの車
薄氷隣の猫拗ねたままでいちにち
乗り遅れたバス見えなくなる迄見ている
洒落たケーキより焼いも戦中派です

              浜 松  渥美 ゆかり
深夜蜜柑二つ残してテレビ消す
掃き寄せても掃きよせても舞う山茶花の坂
病棟見上げる今は亡き姉の窓さがす
からっ風は止む深夜のひとり
陽ざしは春近い寒気に着ぶくれて
白薔薇冬夜にうなだれて咲く片隅
深夜に米洗うそんな生活になれ

              東 京  石川  聡
まんげつ春の唇音《しんおん》
白魚の一寸釘の胃に錆びゆく
杜子春も遅春も知らぬ思春期か
やさしいことば殴られ る、r。
きくともなしに利く通勤の沈丁花
いつさいたのかしらうめ(さかいめ)
くちびる少しあいている宵のはるかぜ

              秋 田  伊藤 角子
寒料理の本を買っている恵美さんの若さ
雪の舞い冬立春になって大雪
月命日凍っている駐車場の雪寄せ
花当番紅の侘助一枝雪道
芽を出したふきのとう雪に覆われ

              浜 松  伊藤 三枝
梅咲いたね挨拶の口元緩む
籠の資源びん春を集めきらきら
田んぼ春のひかりも鋤こみトラクター
この空の色は春桜草笑う
つくしんぼ隣の子ら大きくなっている
車窓菜の花ぬくぬく小さく欠伸

              東 京  岩渕 幸弘
ぱっくり割れ指のさきガンバレ光る
カラスかあかあ母さんが言えなくて
開店前にならぶ鳩の活気
アクロバット麺つるっと飛沫
(仮)字のチョコいっこ
風邪より速く走り気持ちぬかれない
なんてな。らしく恩師笑った死顔

              浜 松  大内 愛子
花を買いに覗けばこわもての店主いる
椿ぽとりぽとりと華やぐ
この先の人生幾つかのときめき見っけよう
受話器取る少し若めの声をだし

              東 京  大川 崇譜
ブロッコリーの骨がうまい
枝の影ひくく冬である土壁
名がつけば焼いたの湯がいたの
ポテトサラダへ真冬ごろごろ
ちがうところ見ているケバブを削り
種芋に赤いもぐら道ゆずる
シュークリーム私は私の保護者です

              加 須  大迫 秀雪
あっちへ渡ろう和邇浮かぶ空が春めく
防災放送聞き終えつぼむそらゐろ小花《をばな》
緊張強ゐる寒気来ゐ来ゐ雪だるま皇國
手作り篠笛《ケーナ》吹けば縄文人争わず
電柱わきの水仙を嗅いでいる
周章ててUFO乗り捨ててきたような言い訳だ
黄昏《(こうこん》リカオン駆け抜けて、、、わたしはだぁれ?

              香 川  大西  節
通り一ぱいに展げた暮れの市
大根畑に捨てられてつぶやく
斑椿やっとひらく日差しやわらぐ
冷雨道一ぱいにトラック疾走
冬草に露ひかり點す
医内迎え待っている二月の雨
些少の縁うつぶく節分草

              防 府  岡原 舎利
梅咲く、ボケの花を買って帰る
新しいポストを立てて胸ふくらむ
見ぬ雪のなごりの汚れ
久しぶりのノラ猫が日向ぼっこ
タバコ吸います日に五本
好きな酒を飲み明かす人生がよかった

              氏 家  折原 義司
今涸れ田圃水入れば生きかえる
節分草鬼のひと足何本埋まる
コロナの威力インフル激減
川に映る雲に泳ぐ走る鴨の群
黄金広がる福寿草満開

              東 京  笠原マヒト
虫の足跡落ち葉の横
猫がそそくさと強い風
波紋が枯葉を揺らす
顔鯉の背中に映る
初めての街はおでんの香り
風雪に耐えた洗濯ロープが窓
廃屋ではなく住居

              東 京  加藤 晴正
直線で金魚売りがやって来る
電波途絶えて真っ黒な山に居る
皺のまま残した昨日
天の川銀河泣き顔は見せない
金槌無口でいる
地球の芯玉ねぎ一個かもしれない
視野測定星座が見えない(緑内障検査にて)

                       福 岡  河合 さち
如月雨続きオーストラリアは山火事消えず
孫私の脇覗き込む杏蕾ふっくら発見
五人目孫もスクワットこんなはずじゃなかった
電車まだ間に合うマスクを一枚
日の入り延びて来て独り身のワクワク
躓くこと亡き夫にブツブツ今年やっと初雪
出掛けないけど春色リップ買ったし

                  国分寺   梶原 由紀
まだコーヒー春を待っていた
冴え返りレシートがくしゃくしゃ
春寒く影の蒼白
肩掛けの熱に眠る
ほんものの葉だ照り返す
早咲きのさくら日に当てて家
わらうかわるがわる紫煙

                      東 京  上塚 功子
小兵カイツブリ素早い泳ぎ護身術
怖い対岸の火事でないコロナウイルス
薮椿の顔立ちを褒める
コロナコロナでバレンタインチョコ買い忘れる
満月から有明月へ白椿落花
鴨逆立プイプイ餌の取り方可笑しがる
桜の蕾おなかいっぱい春を吸う

               松 阪  河内 秀斗
夕暮れ本当の顔を見せる山
蛍光灯二回咳しておやすみ
その正義は冷たい
               横 浜  空 心 菜
コーヒーの楕円の影がテーブルに
白梅のわん曲の列細き枝
誰彼も仲間にしよう春の影
橋下の水鳥つくる波紋かな
匿名になるため待つて夜の暗さ
沈黙と看視社会を生きてゐる
のたりのたりぬくぬくかあちゃん大根抜く

               大 仙  熊谷 従子
雪降ったり止んだり屋根裏の音楽隊
遠くなる記憶と夢の続き追う
雪解けを急かしてのぞく蕗のとう
福は内「コロナウイルス」は外と豆撒く
雪消えて無くした言葉探してる
昨日きょう日差しの中に木々芽吹く
令和を生きる魔法の杖は何処ですか

               川 根  小籔 幸子
重なる山山ずっとずっと向こうに行ってみたい
ジェット機の爆音空に消え静寂を友に草を取る
朝日稜線から一直線軒先に来た
野焼きの炎が地を這う蕨春支度
野焼きの赤い炎に神が宿っている
バレンタイン孫からの包み丁寧に解く
時は流れ大所帯の食卓はすきま風

               東 京  さいとうこう
けさのけんか耳のかたちにて柊
銀河に棄てた眼球は確か、
児の指の短い春をまつタクト
ピアスは手づくりゆれたところが春
って唇もう春ですか
木の芽は触れたい祖母の指
また友だちになった雨あがり

               福 岡  清水 伸子
西鉄電車ゆっくりと令和の梅の盛り
歩き疲れ太宰府の梅にたどりつく
庭のあちこち固まって水仙のにおいが春
枯枝に刺したみかん終日満員小鳥達
父の忌百合と金つば供え自己満足
陽だまりに小犬若い人越してきた
みどりさん逝く音もなく山茶花重なって

               横須賀  杉本ゆきこ
水仙グループから離脱する
びしゃんびしゃん投げやりな雨だれ
父を叱る声消してくれる雨音
青い車の臭い擦りきれた歌声
白いマスクが一番しゃべっている
正義なんてない夕暮れ信号
春迎える町すべてプライスダウン

              武蔵村山  千田 光子
団地転居独り者はうさぎ小屋へ
早咲きの桜横目にポケット芋温かい
団地廻りコンビニ立ち山手線並み
屋根のふち鳩並び何思う
池袋の空反り返って見る
タンス開け端切れ見れば思いつのる
前行く短パンのお兄さん今冬だよね