海紅俳句 2

6月号月号タ~ワ行の以降の方の作品です。ア行~サは1にあります。

                 牛 久  高橋  毅
燕が来たそんなお日和
一人静がニョキニョキ犇めいている
雑草というくさは日に日に伸びる
みどりみどりどこまでもどこどこまでも
初刺されとラジヲが言った痒い
四月から真夏日どうするどうする
大手毬が咲いた次から次に白い花の競演

 

              静 岡   田中 教平
迷い犬来てたらしいひょうきんだったらしい
高所の仕事のなんにもあわてない
指より力なくなってくしゃみ
精神が肉を着て歩いているわたくし
ハナモモ酔いやすく雨がしとしと
あしたの朝を心配して眠ること
別れたさびしさをポケットに入れている

 

               横 浜  田中 耕司
赤の濃い桜が満開三月おわり
犬ふぐりの小さな青が春をつれてきた
花海棠のやさしさに甘えている
ベニコブシ咲いたやわらかな春のいろ
フェンスのむこうムラサキモクレンあけっぴろげ
そこにニチニチソウってシャイな奴が
青いの白いの卯月旬日ハナニラ忌なり

 

              東 京  都丸ゆきお
一年生並んで下校ネギ坊主も並んでる
ツバメが飛んだ日花水木咲いたよ
上野のお山に緑の絵の具かけたのだーれ
(ペースメーカー手術四)
真夏日もあるという週末入院の予約
一週間も別居老が残した老を想い
今迄悪い事してないから大丈夫 タンポポ呆け
落語スケジュール表暫くは余白です

 

               倉 敷  中塚 銀太
ひ孫来る何より早く ハイタッチ
日毎伸びる芽生えも勵み朝歩き
花早い西行如月の歌浮かぶ
四代揃う温泉夕食は花
妹逝くその夜の思い出少年少女

 

               東 京  中塚 唯人
諸葛菜(はなだいこん)ハナミズキ見上げその先のそら
蕾大きく膨らまし春は善良なる色事師
さくらの蕊のなみだ花見客は追認しない
ゼンマイ仕掛けつつじポンポン咲く
ポンと三月リセット今日からあのこ女子大生
束の間の安らぎ求め花びらは去った
ちらり春が気付かぬ間に夏は引っ込んだ

 

              浜 松  中村 加代
桜の下ゆっくり歩こういつもの三人
花吹雪荷物に入って付いて来た
新入生写真も撮ったぴっかぴか
この寒さ一体どこから桜散る
変わりばえしない毎日これも良しとする
スーパー銭湯都会の真ん中温泉でした
幾つになっても子供は子供愚痴ばかり

 

                  倉 敷  原   鈴子
旅の予定決めて頭上の飛行機音冴える
からす鳴き交わす今日の予定
名物に列できていて若いカップルが多い
半平太の春雨もう少し草を抜く
葉ざくらのしずく刻む雨宿り
庭ひとまわり日課は春らんまん
花屋の店先で迷う春いろいろ

 

              横 浜    平林 吉明
シダレザクラその事は言わずにおこう
フェルマータ平和に桜散り敷きる
彼岸の雪さくらコブシ雪さくら
桜たなびく中国女の大きなバッグ
その空は祖母の背中さくら舞い散る
紫もくれん気怠い午后のリュウズ
県営団地ハナミズキ老人いっせいに

 

                    秋 田  船木 恵美
耕した土に白佗助散り初め
恐れもせず畑の私の周りで遊ぶ白い小鳥
季(とき)を知りお濠の蓮の葉顔を出し
畑の中でのコーヒータイム私の力に
今年も満開ですと乙女椿供える
最后の晩餐か群れて餌を拾う白鳥
桜梅桃何も彼も一度に咲く北国

 

                          江 別   本間かもせり
ホームセンターにて季語をいくつか
ワークライフアンバランスザンス
全角のまま満員電車
逃げ道を行くだけ行って片栗

 

                          四日市     正木かおる
わりに頑固な晩柑ひとつ
元気です学年に五人いると云う野獣女子
川面の大空滑るように一羽
もう一枚空の広がる揖斐川日和
轢かれた猫から離れない子ねこ
一緒に診てゆきましょうと桜子先生
春埠頭オルタナティブなギターかき鳴らせ

 

              福 山   無   一
取り残された孤独を有効に使う
ふるさと潜伏先の島と呼ばれる
茨のむき出しの敵意が冴える
髪ぜんぶ梅に染めている
金をドブに捨てる買いだった
反省のない天狗の鼻がふとい
春風に乗って厄介な・・・

 

                            横須賀   森  直弥
春眠にてふりだし戻り
胡蝶おいかけ四月の書庫
家畜列車ゆきゆきて
春の夜のとなりで眠る子
一千年つづくそのだらしなさ
手のひらを象が横切る、眩暈

 

              大 仙   森川 チヤ
一年生蓮(れん)くん背のランドセル光ってる
一年生お姉ちゃんが手を引いて登校です
言い足りぬ留守番電話花ぐもり
より高い所目差して飛んでゆく春鴉
花に雨餌のない庭すみに鳩が来た
客帰り又もとの二人に戻る春炬燵
音無く流れる小川の水ぬるむ

 

              軽井沢    吉川 通子
蕗の薹見つけたその夜雪の予報
桜豪快にて胸張って歩く
土をほぐす背中に春の陽射し
畑次々耕されオセロゲーム黒の勝ち
この庭の春へ山茱萸の黄色加わる
色褪せた桜呑み込み山々の緑
小さいうちに排除せよ西洋タンポポに罪無く

 

                            相模原    吉村 紅鳥
ホットコーヒーを胸で飲む冴返る書斎
手で掬って森へ牡を乗せた蟇を
かわず桜が咲いたと北の友へ
「ミミズはいないよ」落葉を弾くツグミ
窓はスクリーン 農園に雪が霏々と
隅切から翼を広げたユキヤナギ
土佐水木の房の重さを手の平で

               山 形  若木 はるか
さくらトンネルどこまでもゆこう
桜の枝を幣とする
ひかりよふれさくらさいた
辛夷ちいさく咲き風が甘い
うつむいてないで顔上げなよ水仙
シロスミレ赦された今がある
桜ライトアップ消失点へ続く闇