海紅俳句 2

9月号タ~ワ行の方の作品です。ア~サ行は1にあります。

              牛 久  高橋  毅
半化粧日々に白く艶めかし
緋扇は無限花序最後の一花
ネットの蚊避け着て愛犬に吠えられる
我が庭に蝉の抜け殻光ってる
艶めきて玉簪の咲いた夜
田の色がなんとなく出穂(でほ)間近
連日猛暑今月のしらさぎ休会と決す

              静 岡  田中 教平
コーヒー足らない、さびしがらせるな
いのち小さく息を吹いたよ
泣きべそをかきたいかけない男だから
陽に、草、草、草
部屋に入って元のわたしにもどる
草茂る道を汗かいてきた
電球を消して窓の外のひかり

                横 浜  田中 耕司
ひらがなのお願いキラキラ七夕かざり
やっぱり白でしたキキョウがポン
おつぎはレモンイエロー百合がにぎやか
なにやらヒミツめきホタルブクロむらさき
キョウチクトウのくどさを認めます
朝が落ちてきたモクゲのシロ
朝からぐったりだしわくちゃアサガオも

              東 京  都丸 ゆきお
列島猛暑西日本被災地には酷暑
娘から枝豆と青虫届く今晩ビール飲まなくては
猛暑に南部風鈴は無力
せめてもの抵抗お昼はそうめんで
カマキリの子菜園のルッコラ食べちゃった
挨拶はひと言でいい大暑哉
午前健診午後眼科これが現実

                 倉 敷  中塚 銀太
鬼百合のひっくり返って新体操
澄んだ音風鈴猛暑を少しでも
思いの外雨で逃(のが)したたベルリン楽団
あの川あの堤防が切れたのか
雷鳴に今日は夕立いりませぬ

               東 京  中塚 唯人
水を紫陽花にゴーヤに茄子に等しく水を撒く
他意は無いはず風がべっとり僕にまとわる
真っ赤な花と立ち入り禁止の札が暑くて元気
夏が踊るそして鈍重な亀の如く過ぎて行く
チコちゃんに叱られ粉々になったニッポン
春日龍が描く大きな輪夏を加速させる

               倉 敷  原  鈴子
出会いがしら人の性はじける
約束忘れていた夏落葉のせい
枯れそうな小さな鉢の小さな住人
風蘭の香りについ迷ったアゲハチョウ
河原なでしこ絡んだ茎のままで咲く
原稿なくした続く雨が気にかかる
ただ見るだけ映像は荒ぶる流水

              横 浜  平林 吉明
指さきの芍薬みだらに崩れ落ち
悩みの終り始まりの髪を梳き
紫陽花のピンクのスイッチONにする
干されたズボン黒猫の眼が逃げる
償いの言葉ヤマボウシ
誰がそれを待つ夏の葉の黄昏れる
アルカイックスマイルに狂わされ  

              江 別  本間 かもせり
幼子の記事キュウリを包む
沈む太陽は品切れだった道の駅
やがて鈍くなる気象警報
真っ青だって飲める夏だから
海辺のラジオざわつく
よく冷えた店員だけ日本語
街を二分する浴衣大移動

              四日市  正木 かおる
西瓜冷えてます滝のプールにいらっしゃい
着信ありハートビートは緑のランプ
あをによし海を見たよとお庭の小鳥
熱帯のジュリエット溺れてしまふ居待月
露草の青の散らばるふるさと便り
しろはえ軽やか田園にようこそ
青田の広がり此処で生まれた

              秋 田  船木 恵美
友からのワラビ色良し味良し御馳走様
今日も一日草取った満足感
刻の過ぎるのも忘れる友とのおしゃべり
雀より早くエンドウ豆の朝採り
草取る頭上にネムの花涼し気に
柘榴の花散り今年も実が楽しみ
野バラは野バラらしく愛らしく咲く

              横須賀  森  直弥
青嵐かけていく山に笠雲
紫陽花(***)は黙っている
陽の目の高さに海 雨あがる
やがて夢が溶けだす半生夏
盗んだ水の味みたいだって
ミルクセーキ待つ午後

              岐 阜  森   命
この雨のなか蝉は脱いでいる
大雨あがるウグイスと私の気分がおなじ
水攻め陽攻め野菜だって必死で生きる
百姓力まず夏の不成績を配る
夏姿モダンはレトロ
瀬戸物と競艇のはざまテケテケテケが鳴り渡る
グライダー切り離すカラマツから来る音

              大 仙  森川 チヤ
曽孫が笹舟作り流している
夏雀を一茶の気分で見ています
蝸牛、紫陽花の葉裏で何を考えているの
電話鳴る庭の朝ゆれてます
梅を干す母が手編みの古い葦簾(よしすだれ)
銀行へ何用事ですか鬼やんま
台風大暴れして日本列島壊された

              軽井沢  吉川 通子
夏椿落ちた音ひろいお風呂に一人
育たないという町で咲いた紫陽花青い花
笹と格闘ハサミと腰がちぐはぐです
新入り加わり窮屈な梅酒の棚
啼きながら空へカッコウ飛び出した
今朝も草刈りの機械音せわしく唸る
トゲトゲの青々の採りたて胡瓜五本

              相模原  吉村 紅鳥
ヒバリの高さで朝焼けのツバメ
アシダカ蜘蛛の「へいちゃん」猫がいるよ
キクラゲはコオモリの羽根みそ汁へ
雨蛙がね「ツバメさんは黒色なの白色なの?」
振りションにヤブ蚊がいっ匹 ペシッ
後からの影は2羽の雀
熱帯夜から起きてきた「の」の字の猫

              山 形  若木はるか
凌霄花燃え尽きよみないずれ逝く
幻聴うたがうほどか細い声で初蝉めぐる
真夏のカフェ初心者マークの娘の助手席
まわれ右!クーラー故障のスターバックス
いらないものばかりつまったいえのあつさ
ジジッジイウゥゥおまえはいま泣いている
トマト裂果こらえきれないの