海紅俳句 2

4月号タ~ワ行の方の作品です。ア~サ行は「海紅俳句1」にあります。

                                横 浜  田中 耕司
令和のはる仏壇黄色のセンリョウにします
ミツバのピンクの花はまだ閉じている
ゆるやかな放物線シャコバサボテンぴんく
シクラメンミニシクラメン一月が終わった
背の高い赤い梅みつけた暖冬です
鬼のお面の忘れ物お昼寝タイム
タバコふかす女がすねた足を組み

            東 京  都丸 ゆきお
どうする節分鬼がいない俺ひとりだ
寝ても覚めても俺ひとり
行ってくるよも只今も線香の灰ふえるだけ
今日はご飯炊いてみるかひとり分
狭い庭 鉢の梅にも君の顔
玄関先赤いバラ一輪咲いたよ君に贈る
四十九日終えた俺の爪のびてる

            倉 敷  中塚 銀太
暦見て今年閏そうだったか
節分立春暦文字が目を捉え
顔が冷たい掌当て実感
建国記念記紀は遠く雲の中
大正の人は聞かれ挙手ただ一人

                  東 京  中塚 唯人
春がフライングつられてメジロ跳びだした
北の富士さん遠慮しました。照ノ富士より
鬼封じの恵方巻きでは風邪は治せない
もう満開と睡魔の誘いに頷く
冬の記憶忘れさせてくれるボケの花の真っ赤
辛夷咲く風の空少女の友だちはユーチューブ
春が立つ山茶花の白ハラリと落ちた

            浜 松  中村 加代
この冬一番の寒さポスト乾いた音たて
田起こし一斉トラクター大袈裟に唸り
めじろ番でやって来たカーテン細めにあけ
風花舞う切干し大根柔らかく炊けた
ばぁばでも女子会満作咲きだした
スクランブル交差点カフェは目の前
お汁粉は亡夫の好物小豆ふっくら

            倉 敷  原  鈴子
花の種買って春色を足す
四十雀にぎやかにお決まりの枝ツアー
目鼻消え石になりつつ地蔵ほほえむ
音もなく降る雨水の今朝
春一番にむきあい無性に淋しい
曇天冬日よていなし
音信無いが慣れたか雪予報

            横 浜  平林 吉明

青空暗い青年帽子を被ったまま
裏切りと知りつつ日曜のメリーゴーランド
介護施設に放置自転車
入場無料の空が落ちてくる
生きているゴミを捨てにでる
肩うなだれる公衆便所
涙する傘はいらない筈なのに

            福 岡  ひつじぐさ
銀輪や休日は休日の顔してる
薄荷瓶北の国から猫便り
今日は満月それだけで元気
生きているからこそ今を逡巡す
背中には小さな夢と大きな夢
華やかな塔枯れ枝の芽吹き
グラウンドをどんどん広げる春の学校

            秋 田  船木 恵美
就寝前の風雨・雷これからの日々
待ちくたびれて山茶花散る
冬陽黄色いカリンの実落ちてくる
大寒なのに雪国に雪なし
寒風に咲く臘梅を仰ぎ見る
農園からもう春のカタログ
お琴の前に座る一気に何十年前に

            山 形  ま   さ
天井から偶然の目薬
電車の中無表情の若者たちの謎のきかい

            秋 田  森川 チヤ
ふんわりとオムレツ焼ける満月の夜
寒卵割れば生れるゴッホの黄
寒日和ど忘れ同士の高笑い
冬うらら良きことのみを仕舞い込む
大寒に神鈴しかと響きおり
木枯しやボタンの穴をさぐる指
ひとすじの句の道たのしわが恵方

            岐 阜  森   命
西の月東の朝焼け裸の桜が捌きおる
杖のありがたみ杖つくことうまくなる
とぼけた鬼の股くぐる山門日和
ギャグも入れ園児びびらす鬼の役
ひなさまの毛が抜けるいのちのあかし
あってない冬だ道端の梅七分
寒戻る確定申告の椅子ぬくい

            横須賀  森  直弥
あかあかと手を振る焚火
春の匂いに振り返る
吹けよ異国のうた春一番
寒鯉は夢のなか水面ゆれる

            山 形  若木はるか
十二月投句分
ほわんとススキの描く高速分離帯
見上げるがいい夕焼け吸い込んで軀を満たせ
儚いものこそ留め置く、雪
鳥影またたく木かげ透かして
一人じゃないよ夢の中で君が歌った
はつゆきふれてもふれなくてもきえてゆく

二月投句分
さざんかさざんか山茶花ばかり紅い二月
ピィーウゥ旋回する鳶の翼破れている
昨日の約束積み上がったままの明日
折れた枝ひっかかっている祈る形で
あげないもらわないバレンタインデイ知らんふり
カーブミラーの凸面雪の坂だれもいなくなった
さらさらとさらさらとこなゆきのあかるいあさ