海紅俳句 2

四月号月号タ~ワ行の以降の方の作品です。ア行~サは1にあります。 

               牛 久  高橋    毅
寒風を五感に受けてただ歩く
春一番どこまでも空青し
東京タワーくっきり春一番
光る葦原日足日々に伸びる
鍋と決めでっかい白菜買う
朝刊を取りに出て淡雪薄っすら

              静 岡  田中 教平
いくど救われこの幸にひとひの雲
こころすりへらし体すりへらし勤労の朝あした
春の雨の滴のさきの暗がりに倒れそう
のっぺりとした陽のなかへ帰る
よくパン食べた歯の痛むこと首を揉む
弥勒の熟考の中で一人
どうしてこうなる未来知れずの離れ雲

              横 浜  田中 耕司
三年生はおもろいなって沈丁がはじけた
夜明の月が四十五度春は近い
夕焼けの明るい赤が春なんです
節分立春恵方巻きなんぞくわねえよ
三寒四温なんてカニシャボテンあいまい
園児がさわりたい辛夷の莟の銀色
マイナスの朝またサイレンが飛び出してゆく

              東 京  都丸ゆきお
バレンタイン異教の人から本命チョコ
確定申告ナシ嬉しいやら淋しいやら
昨日ポンカン今日はるみ明日文旦春満喫
しらさぎ会館早めの雛も淋しそう(照子さん欠席)
別れは突然に船村徹は郷里の人よ
雨予報外れやわらかな日差し着物干す
四温は池のメダカに春の便りだ

              倉 敷  中塚 銀太
豆まきは遠くへ行った今映像
頼山陽ゆかりの街で銘酒買う
福寿草日々の仕事花数え
カナダより孫帰り来て回転ずし
春霞かのう島影はるか自動車道

              東 京  中塚 唯人
初氷見てからの椿の白のなかなか
マンサクの黄が春を照らしているのでしょう
木瓜の蕾がふくらむエロチックひだまり
北北西向かず恵方巻き食べ豆まきは割愛す
半ズボンに揚げパンむかし冬は寒くなかった
万両幾本か生えこれはヒヨの陰謀だ
暖房効き過ぎ冷蔵庫から夏って堕落かも

              浜 松  中村 加代
主亡くした庭の椿蕾固いまま
亡夫の声は無い福豆部屋の隅
列島どか雪遠州浜松どこ吹く風
待ち侘びた満作一輪暖かさ

              倉 敷  原    鈴子
とりたてて何もない夕餉の支度
枯れ葉ふむ一歩また一歩うしろ姿の母
冬鳥の道に藪椿あかい花かくす
スノードロップの白浮かせる枯草じゅうたん
コーヒー半分ゆっくりと寒夜更ける
はしゃぐ児と春一番が踊っている
節分草のたより山里の坂のぼっている

              横 浜  平林 吉明
やわらかな冬の大空ジョーンバエズ
吹きすさぶ北風分譲地
くだもの屋の奥に春色の悲しみ
やさしそうに紅い爪たてている
カーテンと僕のすき間にある退屈
モニターに映っている雑用係
暗黒のエレベーターが止まらない

              鹿 沼  福田 幸子
雪の舞一幅の絵とゆるやかに時まわる
優しさとろりチョコレート満ちてくる愛
ネギニラニンニクたっぷりと冬ごもり
サラダ殊更カラフルに「さあランチ」
日溜りに開眼供養四世代の笑顔

              秋 田  船木 恵美
大雪三日スコップ持つ手の痛みつづく
二月も終りに近くもう雪恐くない
吹雪でも毅然と咲くろう梅天使のよう
雪の隙間から蕗の薹のたくましさ
嬉々として飛び立つ白鳥の北帰行
最愛の友が遺した言葉に涙

              江 別  本間かもせり
ダイヤモンドダストそれって遅刻じゃん
通院は語らない冬の残り時間
白銀これをビッグバンというのか
沍返る譲歩は引き出せないだろう
春の雲みつけた北欧のアコーディオン
モールス信号溢れる窓向こうの冬海
最終バス見えないものだけ乗せて坂道

              東 京  三沢 昭夫
信濃の力士のしこなに海がつき
蘭展に海月も展示人だかり
めでたや賞を貰いし友の絵
来年は個展を開くと友語り
友夢語り吾寂しさを語る
浜松宮川侑子
同じもの着同じもの食べ同じことして冬の日
時ならぬ寒風に倒れ咲く水仙あわれ
こんなに生きると思わなかった誰も云う

              京 都  村井    洲
雪あかり呼吸しているニューワールド
雪に負け雪に生まれるちいさな法則
半襟は雪の色なんとかじぶんで
聖堂の高みに舞う雪とびらがひらく
嫁ぐあなたを包む淡雪
布団掛けなおしてくれた気がした
鳥よ菜の花色の半島だろう

              大 仙  森川 チヤ
桜餅二つ午後のおやつを待っている
今朝の大雪柿漬大根の重石かたむく
ふっくら膨らむ冬雀首よく回る
建国の日乗り合わす炬燵列車の国訛り
ローカル線ストーブ列車でするめ焼く電車もあり
外は吹雪無口な爺さんとトランプゲームする
裸木に「なんじゃもんじゃ」のお札つるそうか

              長 野  吉川 通子
春節のパワーに埋れ小さなスキー場
恵方巻に異議なく我らふたりの節分
雪の嬬恋キャベツ畑どこまでも真白
つるんと滑ったしまった見られた
雪上のウサギの足跡ふたりの目が光る
福寿草さくら草一足早く花屋は春
綻び始めた春を携え妙義山そびえ立つ

              東 京  吉田 東仙
焦点のあわない目にあらがう
あれもこれもと日用品こわれていく
いつも同じ所でころぶ夜の近道
スーパーに行ったり来たりで落日
写真の中の犬とおしゃべりばかり

              相模原  吉村 紅鳥
いち番ゴボウ2番人参…根菜みそ汁
初資源の日「松竹梅」の一升瓶
指を舐めて拾う猫の爪は三日月さま
予定を記入しないまま妻が消えたカレンダー
腹を見せていたドジョウ?生きていた!
鍬仕事を見ている杭のジョウビタキ
息を止めて煮込みうどんを小鉢へ

              山 形  若木はるか
青天白日タルト・タタン焼く
山のてっぺん無骨な巨大なアンテナの恩恵
雪の河原をシラサギ首たたんで翔ぶ
体感気温マイナス二度冷えた紅茶あたためて飲む
ぷりん蒸す湯気もうまそうな
ふぁさっふぁさりえだからおちるこなゆき
あったかい日射し浴びればしあわせ