近作玉什・巻頭

  【近作玉什】
  四月号作品より             編集部薦
   ―青天白日―
殆ど病院前で降りる冬の砂丘行きです      渥美 ふみ
今日一日をまとめて夜の闇に消す        渥美ゆかり
春一番かあさんさがす音            大川 崇譜
まだまだ割高そら豆の塩加減          河合 さち
柳のむちに芽吹きあり             上塚 功子
凍る空会話は途切れカレーうどん        小山 君子
己を叱咤し書いた青いままのプラン       小山 智庸
家々を包んで哀しいほど白い雪降る       紺  良造
赤ちょうちん揺れる一人ふたりワタシ      西藤 広太
この町の吐息が春の雪になり          菅原 瓔子
最終バス見えないものだけ乗せて坂道     本間かもせり
鳥よ菜の花色の半島だろう           村井  洲
恵方巻に異議なく我らふたりの節分       吉川 通子
予定を記入しないまま妻が消えたカレンダー   吉村 紅鳥
青天白日タルト・タタン焼く          若木はるか


【巻 頭】  
月号からの特選2名です
  いわしを焼く           防 府   岡原 舎利
沈んだのはアクリルの月
すべて枯れ朽ちて庭が現れた
祈ることなくなり広々とした空
下流一人ごろっと眠る
総ての存在が燃え上がった
朝のいわし丁寧に焼く
がら空きのバスほっこり

  ケトルのやさしさ         東 京   西藤 広太
しけた顔今夜は照らすな朧月
老人とバス停が告げる春の訪れ
朝日ラメ色壁のレンガは春の色
誇らしくゴミで万歳チャート式
電気ケトルの優しさに絆された夜
ノイズはぜんぶイントロってことで
ビルディングの明かり羊飼いいない町