近作玉什・巻頭

  【近作玉什】
          三月号作品より             編集部 薦
                ―冬空―
 除夜の鐘ことしの帳尻合ったことにして     渥美 ふみ
山の雪解けてるトックリセーターなかやすみ   院瀬見美登里
冬空ケルヒャ―できれいになった星をおく     大川 崇譜
葱畑深く土を被せて寝てしまう          大西  節
冬菜を新聞紙に包み無駄のない暮しです      熊谷 従子
遠い空からの雪たどり着いて土に消え       小藪 幸子
初詣にもゆけず餅焼く二人            小山 智庸
妹撞きし除夜の鐘「結婚します」         西藤 広太
庭が明るくなった蕾いっぱい梅の力        清水 伸子
しかられて右てぶくろさがすすべり台       高橋 和子
春の川神様になにもねだらず歩く         田中 教平
全力疾走に入った梅が広げた白          田中 耕司
日差し求めシクラメン俺の机に座る        都丸ゆきお
まねき猫に迎えられ春にあう           原  鈴子
ふつふつと寒九の泉が湧きいでる         森川 チヤ


【巻 頭】  四月号からの特選2名です
   冬の月              浜 松   渥美ゆかり
白いもの降りそう山茶花散り終る
湖に光る風だからゆれている鴨
ガソリン入れる湖べり雪がぱらぱら
今日一日をまとめて夜の闇に消す
古いふるい手紙の色ほのかに冬の陽ざし
今夜は月もなく入院の姉知らせもなく
冬の夜が雨戸をたたく寝そびれている

  赤い列車                  岐 阜      森    命
休日の朝すでに出来ていた雪だるま
放流のアマゴでありサギは夜目が利く
雪はげしくなるばかり赤い列車と曲がる道なり
わずかに春めく飼わぬ猫と陽射し来る
春近いのに店たたむ話のまされる
白梅から始まる琴線ハイクライン
また一人席つめて言葉が生まれる春日