近作玉什・巻頭

  【近作玉什】
 五月号作品より       中塚唯人薦
  春の絨緞
海の色空の色とけてきて春        安達千栄子
とまったままのブランコ氷ったままの公園 渥美ゆかり
唱歌ばかり春さなか仲よし        院瀬見美登里
トラクター畝真っすぐ春の空       伊藤 三枝
色香はらんだチューリップたちの立話   大迫 秀雪
春を見てきた母が眠たい         梶原 由紀
さくら仰ぎ見るもう少し生きる      高橋  毅
のどの奥しめつけられた言葉たち     田中 教平
地面が赤い落ち椿咲いている       中塚 銀太
なずな小さい花です会釈する       原  鈴子
月ノ夜ニナル着信音ナミダ        平林 吉明
旅立ちのパイプ椅子は等間隔       本間かもせり
マネキンの指先ぴんと日脚伸ぶ      森川 チヤ
雪解けの川の流れ安曇野に届く春     吉川 通子
後期高齢者になってつるりとおでこ    吉村 紅

【巻頭句】
  お墓参り         福 岡  清水 伸子
バスから見える桜の向うに平和な海
公園の日だまりきれいな猫すり寄ってくる
公園花吹雪少年は半袖で走り
京都待ち合わせ友はリュックに春風いっぱい
山々に守られ夫の墓光子さんと来ましたよ
お墓参り余韻は奈良京都お寺の桜
北風南風釣瓶のようお日さま

  春ど真ん中          岐 阜  森   命
カメラの列避け名のある桜と対面する
桜ちりスピード違反の夏日きた
式終えてランドセル会いに来た昼休み
四月の蛙は銭のとれる歌唄う
縁起物乗せ日当九万円の馬歩く
骨太のドウダン大衆に物言う寺
一面草もちの色雨蛙仲間入り